ベクレル石

毎日毎日、まーいにち、名前を聞くことになった、ベクレルさんの名前を頂いたベクレル石。
もちろん名前は、放射能を発見したフランスの物理学者、Antoine Henri Becquerel (1852-1908) にちなんでいます。
この人ね。ひげおじさん。
彼は、写真乾板の上に放置したウラン鉱物が遮光下においても乾板を露光させることに気付き、透過性のきわめて高い放射線の存在に気付きました。放射線科学の黎明を切り開いた、この分野で最も貢献した学者であります。


ベクレル石はカルシウムとウラニルの塩基性酸化鉱物で、この種のウラニル塩鉱物の中でも際立って多いウラン含有量を示します。重量にして70%以上のウランを含み、その比放射能は 18 MBq/kg。その名の通りです。


結晶系は斜方で、確かに斜方っぽい四角柱状結晶ですが、先端が毛羽立って漆刷毛のようになってますね。
どうも、別の針状結晶の鉱物がエピタキシャル成長しているようです。なんだろう?


becquerelite

ベクレル石(becquerelite), Ca(UO2)6O4(OH)6-8H2O, orth., Pna21.
Katanga, Congo (Zaire)
上下 : 6.0 mm



結晶構造中ではウランは7配位、歪んだ5角両錐で酸素が配位しています。


お問い合わせのあった標本の放射線量についてですが、確かにキロ当たりの比放射能は高いのですが、いかんせんサムネール標本ですから量が少なく、非遮蔽でも2mも離れると屋外のγ線レベルと大してかわらなくなります。
そんなものです。
ウラン鉱物については

  1. 必要以上に大きな標本を入手しない
  2. 必ずプラスチック容器に収納し、紛失しないように管理する
  3. 素手で触らず、触った後は手をよく洗い、内部被曝を避ける
  4. 離れたところに収納保管する
  5. 標本が増えたら、鉛で遮蔽する

を守れば、実害は生じないでしょう。