誰だ!脈幅品位12%なんて言ったのは!!

10PM、ただいま帰宅。疲れた。


今日の日程。
早朝、沢沿いの林道をしばらく上がり、銅鉱山跡を探索するも、
なかなか見つからず。資料に地形図がなく、詳細な位置がつかめない。
転石にも金属鉱物が入っていない。
重晶石*1の脈を切り通しに見つける。やっぱり重晶石はいい結晶になるね。
2時間ほど捜しまわったのち、諦めて次に行こうとする。
ふと見つけた蛇籠*2の中に大量の黄鉄鉱*3と黄銅鉱*4が入っているのに気付く。
蛇籠の石は現地で入れる場合が多いため、周辺をくまなく探す。
埋没した坑道らしきものに到達するが、完全に崩落している。
付近の露頭*5を巡った結果、石英脈を発見。脈幅20cm、石英脈に黄銅鉱、黄鉄鉱が伴われ
天水により銅藍と孔雀石に分解している。水晶は大きくても4cmを越えず。
なんとなく水晶を2つほど拾ってみる。もちろん誰も探った跡はなし。苔むした水晶。
二次鉱物を目当てで来たが、珍しいものはありそうにない。



昼過ぎからは、二つ隣の沢の亜鉛坑道を捜索。
地元聞き込み30分、庄屋さんを紹介してもらい、庄屋さん宅で資料を見せてもらう。場所はわかった。
庄屋さんちの裏から薮の沢を上がること1時間、坑道跡に到着。
沢沿いの坑のみが残存。それ以外は全て埋没。


坑道はひざまでの水がたまっている。迂闊なことに長靴を持ってこなかったため、
裸足で坑道に入る。とんでもなく冷たい(今にも雪の降りそうな天気)。
付近の樹木の長い枝を切って、杖兼足場確認棒にする。


しっかりした深い坑道で、崩れる危険はほとんどない。
30m立入*6。100mヒ押し*7。母岩は凝灰岩とヒン岩様岩石。
鉱脈は割目充填っぽい。まず水晶が育ち、残りの空間を閃亜鉛*8が充填。
ガマが多い。水晶は max 5cm。きれい。
水晶の上に閃亜鉛鉱の結晶が乗るのも。
脈は幅20cmもない。延長はかなり長い。
しかし、真っ平らな坑道で、入り口から150m、ずっとひざまでの水。
足の感覚がなくなった。
天盤に付く水晶を濁水に落とすと、どこに行ったかわからなくなる。


少量の銅を伴うようで、胆礬*9のつららが透き通るように青く下がり、青い壁とつららに見とれてしまう。
亜鉛鉱脈は閃亜鉛鉱由来の亜鉛のつらららしきものがいっぱい下がっている。
割ってみると絹糸状の光沢なので、炭酸カルシウムではない。
おそらく hydrozincite *10だろう。長いつららでは10cmを超えるものも。
壁面からにょきにょき生える亜鉛の花もまた楽し。にょろにょろを彷佛させる。
びっくりしたのは、分岐坑道出合にひざうえまである褐鉄鉱のゲル状沈澱がたまっており、
足を踏み入れたら、ゲルが崩れて水が川のように流れてきたこと。
ドザーと音を立てて、坑道の中で真っ赤な水が足下を激しく流れる。
どうやら側坑道は軽く掘り上がっていたらしく、そこにたまった水が褐鉄鉱ゲルで
せき止められて溜まり、その堰を切ってしまったようだ。
あぶねえあぶねえ。
奥はさらにあるようだが、大量の支保が腐っており、酸欠が怖いので U ターン。


もう少し脈を叩きたかったが、足場が冷たくてやりきれないので出てくる。
今度はしっかりした胴長で来よう。
足の感覚がなくなるとバランスが取れず、何度も転んで下山。


帰りに庄屋さんのところに寄る。
80才ぐらいのおじいさんだが、ほとんど方言がなく、話が聞き取りやすい。
しかも Mac を使っていた。
ひと抱えもあるような梁がある、立派な家。築180年とのこと。
庄屋さんはオレに、今まで気になっていた質問をたくさんぶつけてくる。
鉱物のこと、精錬のこと、採鉱のことなどなど。ひとつひとつ答える。
羊羹とお茶で長居してしまったが、庄屋さんは楽しそうだったのでまあ良しとするか。
次回に来る時は、付近の地質に詳しい人を紹介してもらうことになった。
軒先に2cmはある黄銅鉱の結晶の乗った水晶トッコがあるので、もらう。
ただしさびさび。出たときは立派だったろうに。


次回は長靴で坑内探査だな。通うだけの価値はありそう。

今日の写真


今日は、産地直送、白水晶の苔+泥トッピング仕立てでございます。
小振りですが、熟成が進み、お箸で切れるほどやわらかくなっています*11
素材の味わいを楽しみたい方は、そのままでお召し上がり下さい。
お好みに合わせて、酸ドレッシングも2種類用意してございますのでご利用下さい。
ドレッシングの説明をさせていただいてもよろしいでしょうか?
ドレッシングは、さっぱりお手軽○○○酸風味、コクがあるのにキレのあるホット30%○○酸風味がございます*12
それでも満足できない方は、オプション料金でもう一つご利用いただけますが、入れすぎると母岩まで崩れてしまいますのでご注意下さい。


*1:じゅうしょうせき。硫酸バリウムが成分で、バリウムの主要な鉱石鉱物。無色透明な板のような結晶になることが多い。見た目よりも比重が大きく、ずっしりと重いのですぐわかる。

*2:土砂の流れ止めに使う、石の入った針金で編んだ籠

*3:おうてっこう。二硫化鉄を成分とするありふれた鉱物。金色のさいころのような結晶を作ることが多い。

*4:おうどうこう、鉄と銅の硫化物。銅の主要な鉱石の一つ。ぬめっとした割れ口の金色の結晶を作る。

*5:ろとう。岩盤が地表に出ている部分。

*6:たていり。鉱脈をめがけて掘る坑道

*7:ひおし。ヒはかね篇に通る。鉱脈に沿って掘り進んだ坑道

*8:せんあえんこう。硫化亜鉛で、亜鉛のもっともありふれた鉱物。中に入っている鉄分で外観が変わるが、ここのものはべっ甲と呼ばれる純度の高いもの

*9:たんぱん。硫酸銅五水和物。真っ青な透明な鉱物で、銅硫化物が分解すると出来る

*10:亜鉛土。水酸基を含む亜鉛の炭酸塩。普通は閃亜鉛鉱が分解してできる。

*11:最大のもので3cm。ガマはグズグズ

*12:少し濃度を落としているのがミソ