深夜、徹夜で高速を飛ばして、採集に行く。
目的は堆積岩に胚胎した多金属鉱床。
朝、目的地に一番近い道の駅に到着。コーヒーを飲む。
林道をがたごと走り、鉱山周囲の鉱脈を探す。
鉱種は銅鉛亜鉛なのだが、石英脈ばかりで金属鉱物はあまりぱっとしない。
それでも、転石に透明な水晶が混じり、上の鉱脈の質の良さを期待させる。
が、付近は藪、藪、藪。
藪の薄いところを狙って漕ぐのだが、大体そういうところは蜘蛛の巣が多い。
顔に蜘蛛の巣が張り付く感触の悪さといったらない。
裂罅に水晶がぱらぱら張り付いている場所を見つけた。
透明で、三角柱の形状をしている。
水が入っているものもある。


しばらく下に下りて、本ヒを押した坑口に向かう。
雨上がりで蛙が大量に出て、それを狙って蛇がわんさか。
マムシが何匹もとぐろを巻いている。
刺激しないように、沢を上がる。
何の変哲もない沢だが、坑口があったと思われる付近に近づくと、沢の中に蒲鉾型のコンクリートのトンネルが蛇行しているのを見つけた。
総延長で500M程度。スノーシェッドのような感じ。
鉱山の歴史から考えて、昭和10年代に作られたもののようだ。
不思議な建造物だが、どうやらこれは水を迂回させるものらしい。
本坑は縦坑で、沢の脇なので、水には苦戦したのだろう。
ただし、坑口はすべてコンクリートで塗り込められている。
脈は多いが、ほとんどが陶器のような石英ばかり。


一回下まで車で降りて、隣の沢の鉱山跡に向かう。
こちらは金銀銅。金銀鉱物はほとんど見えない。
亜鉛ははっきりとわかる。銅は黄銅鉱と輝銅鉱がわずかに。亜鉛は閃亜鉛鉱。
石英脈はこちらのほうがはるかに太い。
最初に見つけた坑道は、出水のために完全に浸水。
石英脈が多く、銀黒脈が目立つ。それともニタリかな?
次の坑は、沢をひたすら上がったところにあった。
紫水晶の転石がちらほらあるが、露頭付近の傾斜はかなりきつい。
ここも坑口は封じられている。
坑口をふさいだコンクリートの上に土砂がたまり、そこにノボリリュウタケが多数生えていた。
変なかたち。

この鉱床で一番太い脈は、露天掘りで押されている。
溝状に掘り込まれ、上下盤が露出しているが、この盤に水晶が多い。
両手両足で溝を登り、ガマに生えた水晶を折り取る。


脈はまだまだいっぱいあるのだが、まあ、こんなもんでしょうということで引き上げる。
下まで降りて、マスの釣堀で何匹か釣る。これは今晩のおかず。


次は、鉛亜鉛を掘った鉱山跡。
林道を走り、露頭を見ながらがたごと。
何本も鉱脈が見える。
一番太いものを見つけ、ほじくる。

鉱脈は閃亜鉛鉱、方鉛鉱、黄鉄鉱からなる太さ20CM程度の垂直脈。
空隙が多く、自形の結晶も多いが、表面が腐っている。
また、隙間に二次鉱物がかなり見える。
黄鉄鉱が混じるので、二次鉱物は茶色くなったものが多い。
そばに蜂の巣があるのだろう。何匹もスズメバチが巡回に来て脅される。
1時間程度で引き上げ、キャンプ場に向かう。


キャンプ場では、すでに宴会が始まっていた。
合流し、ビールを飲んで、やきにく。
にく。


完全徹夜だったので、さっくり寝る。