慢心

知り合いに「アスベストとはそんなに危ないものなのか?」と質問されました。
山を歩くと、地質によってはよく見かける鉱物です。
仕事でも、耐熱材料として多く量を使っています(製品として)。
普段使いしていると感覚が麻痺してしまうので、「それほど神経質にならなくてもいいんじゃないか」と考えがちですが、それを人に言うのはためらわれました。
「いままで大丈夫だから今後も大丈夫」という、自分の些末な経験を根拠とするのは危険です。
鉱物や試薬もそうで、普段から身の回りにあると、根拠もないのに注意が散漫になります。
危ないのはモノだけではなく、慢心した心なんだなと自戒しました。


ちなみに、日本化学会の会員行動規範補遺(行動の指針)では、以下のようにあります。
化学会員が必ずこれに従う必要はありませんが、職業人としての責任を自覚しなければならないのは言うまでもありません。

2.社会に対して化学に関わる職務に従事する職業人として、広く社会に対しても日常生活で取扱う物品の安全・健康・環境面での注意を喚起し、説明する義務を有する。さらに、会員個人として、組織として、研究、製造過程において社会に対して好ましくない影響を及ぼすことのないよう、また、非意図的に生成するものを含め製造される物質、物品、製品そのものの安全性の確保ならびに健康への影響の配慮について、関連諸法規を視野に入れた万全の対策が講じられなければならない。


ただし、ここで言う「安全性の確保」とは、素人を脅せばよいというものではありません。
どうもこのあたりの匙加減がむずかしいです。
きちんとした専門知識があれば対応できるのでしょうが。



鉱物関係のコレクターも、暴露には充分気をつけてくださいませ*1

*1:自分だけならともかく、人に説明するときは要注意です。充分な経験や知識があるのなら別ですが、そうでなければ、人に「それほどおっかながらなくてもいい」なんて公言するものではありません。私は以前それで失敗しています。