天然物
10日ぐらい前のトリカブトアルカロイドの話を、一部削りました。
検索エンジンで「トリカブト毒精製の仕方」という検索で来ている人がいたからです。
再結晶溶媒がわかったぐらいで単離できるようなものではないんですが、念のために。
再結晶まで持っていくところが腕の見せ所なんです。
これを書くと真似する人が出てこないとも限りませんので、書かないでおきます。
最近は、中途半端な知識を持っている人がインターネットに奇妙な情報を流し、その情報をもとに事件がよく起こります。困ったことです。
そういうHPや 2ch の書き込みを見ると、笑っちゃうぐらい大嘘が多く、幼稚で、非効率で、かつ危険です。
「もうちょっと勉強しろ」と、言ってやりたくなります。
液クロ単離とは言いませんが、分液もろくに振ったことの無いヤツが、そんなにスキルの必要な操作ができるものか、と*1。
ちょっと前に、ある有名な毒素の単離の実験者から話を伺いました。
基本的には抽出とクロマトなんですが、最終的な純品に近づくほど、実験者の体調が悪くなるんだそうです。怖!
決して大量というわけではなく、目に見えるか見えないかの量らしいんですが。
これ以上ばらすとヤバそうなので止めておきますが、強い生理活性を有する天然物の合成単離には、様々な苦労があります。
素人が、知識も技術も道具もなく、風呂場で簡単にできるものではないんです。
*1:物質の合成で手を焼くのは、反応自体よりも、単離操作のほうが多いです。ものをきれいにするのは、言うほど楽じゃありません。もちろん副生成物が少ないほど単離は楽なので、反応を仕込む際にすでに精製操作のことを考えていないとダメなのですが。