湯河原沸石 yugawaralite, CaAl2Si6O16·4H2O, monoclinic, Pc
日本国内から新発見*1された、唯一の沸石。
独特の風格があり、かっこいい。
よく探すと、国内のあちこちにちらほらと産地がある。
そして、ボーリングのコアに見出される場合も。
手も足も出ずとは、まさにこのこと。
日本で記載されたためか、それほど稀産というわけではないのに、一定の人気がある。
オレも、この沸石に出会うとヨロコブ。
対称心の無い鏡面対称の空間群を取る*2。
見た目からは判別できないが、結晶構造においては陽イオンのサイトがディスオーダーしていることが多い。また、mon. - tric. の単位格子のゆらぎがあると秋月先生の論文にある。
きれいな結晶だからといって、必ずしも R 値が下がるとは限らない典型例*3。
*1:K. Sakurai and A. Hayashi, Sci. Rept. Yokohama Natl. Univ., Sec. II Biol., Geol. Sci., 1, 69-77 (1952).
*2:Z. fur Krist., 125, 220 (1967). Acta Cryst., B25, 1183 (1969). Z. Kristallogr., 130, 88 (1969). Z. fur Krist., 174, 265 (1986). など、解析の報告は多い。
*3:この現象は、結晶作りをすると嫌ってほど思い知らされる。逆に、どうしようもない見栄えの結晶の R が 3% を切ったり。