分析済み
最近ムッとする言葉は、分析の手法(もしくは観測した物理量)を挙げず用いる「分析済み」という単語。
なんだよそれ。
結論として、あなたが主観でそう判断したのはわかった。
でもオレには根拠が示されていないのでそれが正しいんだかどうだか見当もつかない。
あなたの分析のスキル(もしくは知識)か、人脈を信じるしかない。
EPMA で定性分析したのか、それとも定量したのか。
粉末回折のパターンを文献値と比較したのか。
熱分析のデータが既知物質と一致したのか。
湿式分析したのか、光学的性質を偏光顕微鏡で調べたのか。
あるいは赤外スペクトルの吸収を帰属したのか文献値と一致したのか
それとも肉眼でそう判断したのか。
何一つわからない。論拠が無い。
自分で分析し、同定できる人は普通はそうは書かない。
必ず、どういう物性を何で確認し、同定したのか書くはず。
ものぐさでなければね。
でなけりゃ説得力まるでなし。
いろいろなところでこの言葉を目にするとき、オレは
- この人は、詳細な説明を書く時間がなかったのだろう
- この人はおそらく文章の文字数制限や、あるいは説明が極端に苦手なため、根拠を書くつもりがなかったのだろう
- この人は、読者の大部分ががまったく分析には無知蒙昧であると判断し、書く必要が無いと考えたのだろう。
- この人は、この同定ができるのはあの分析手法しかありえないということを熟知していて、あたりまえのことをわざわざ書くまでも無いと判断したのだろう
- この人はきっと分析が苦手かデータを自分で判断したことが無いか、あるいは分析の詳細を知らされなかったため、他人の判断を盲目的に信じるしかないのだろう
- この人はおそらく分析値が何の物理量を表すのかをまったく知らないため、データを提示されても文章で表現ができないのだろう
- この人はおそらくまったく科学の素養が無くて、根拠を示すことすら知らないのだろう
- この人はきっと分析していないものを「分析した」と言い張るのだろう
のどれであるかを判定しなければならない。
ああめんどくさい。
ツッコまれても受け答えのできない人は「確認されているそうです」ぐらいにほのめかしておいたほうがいい。
でないと、詳しい人にツッコまれてボロが出てしまうよ。
趣味ならいいんだけど、お金もらってやっている人は、お金もらってる分だけ勉強してみてはどうだろうか。
それはきっと自分のためになる。
逆に、人に依頼分析を頼むときは、どのような手法でどのような物理量を測定できるのか勉強する必要があるし、同定し判別するには何を調べたらいいのかを知っていたほうがいい。わからなくても分析終了時にデータのコピーぐらいはもらっておこう。
分析する側も、依頼人が試料の特性と機器分析に精通していれば、正しい分析手法を即座に選択できるので、すごく楽なんですよ。
オレの要求は、ないものねだりですか?間違ってますか?