火垂るの窓
写真は赤外吸収スペクトル測定用フッ化カルシウム窓材。
赤外だと岩塩板(塩化ナトリウム単結晶)を用いる機会が多いが、フッ化カルシウムの方がはるかに使いやすい。
水でも有機溶剤でも洗え、素手でべったり触っても大丈夫。
測定領域のほぼ全域で透明(窓領域は岩塩の方が広いのだが)で、かつ硬度が高くて岩塩板に比べて落としても割れにくい。
蛍石板は値段はちょっと張るが、岩塩板がすぐ割れるのを考慮すると、数年でもとが取れると思う。
もちろん人造の単結晶を切り出しているもの。
天然のフッ化カルシウムである蛍石は、大きな結晶はなかなか見つからず、ほとんどが着色している。
以前、某国でたまたまお会いした鉱山技師の家の庭先に、一抱えをちょっと下回るような深紫の蛍石の群晶が無造作に転がっているのを見つけた。ついている結晶はみんな握り拳ぐらいの大きさ。
「うわー。なにこれなにこれなにこれ!!!」とびっくりした。
いくつも標本を頂いて、とても嬉しかった。
帰りの荷物が異常に重くなったけど。
蛍石では有名な国だが、やっぱりじかに見ると感激した。
中国の緑の蛍石の群晶標本も捨て難いが、あの深い紫は忘れられない。