妊娠検査薬

妊娠検査薬は、原理的には TLC と同じで、尿中の特定成分(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン, hCG)を分離検出するものだ。
使ったことのある人にはおわかりいただけると思うが、妊娠の可能性のある女性の尿を末端にかける。
すると、ドライカラムクロマトグラフィーと同じで、クロマト担体に浸透しながら展開されてゆく。
目的とする hCG は Rf = 0.4 ぐらいのところに上がるので、担体末端まで上がりきったところでその Rf 値の部分に窓が開いていて、ここにスポットが出ると妊娠している可能性が高いということになる*1


で、ここからが本題なのだが、以前の妊娠検査薬には恐ろしいことに目的成分以外に Rf = 0.6 ぐらいのところに呈色スポットが出るものがあった。
これは妊娠とは関係ないのだが、これは非常に心臓によくない*2
窓から展開を確認していると*3、Rf = 0.6 のスポットが窓を通り過ぎる。
「うわ!子供ができてる!」と二人でドッキリする。
しかしこのスポットは通り過ぎてしまい、何の反応も無くて「あーびっくりした」ということになる。


みんなをびっくりさせるので評判が悪かったのか、最近の妊娠検査薬はこの Rf 値の大きなスポットは見えないらしい。


それにしても、展開試料(尿です)は常に供給されている(これが展開溶媒なわけだし)はずなのに、なぜスポットが出たり動いたりするのだろう。
尿中の特定成分と反応する成分が少量担体サンプルチャージ部に含有されていて、それと反応してできた生成物が展開するのだろうか。


ウチにはコウノトリはいつやってくるんでしょうかね。
やっぱりオレがまず検査に行かないとダメなのかな。
かなり行きたくない*4

*1:正確には、抗原抗体反応によって呈色する試薬と反応し、スポットが出る

*2:子供ができて嬉しいかそうでないかは別にして、妊娠という現象に女性は恐がり、男性はびっくりする。

*3:普通はドキドキしながら見るものだから

*4:経験者の話では、個室に案内され、そこには・・・