http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060705k0000m040173000c.html

早大不正論文疑惑:松本教授、再現実験データ無視
 早稲田大理工学部の松本和子教授(56)が01年に発表した論文に不正が疑われている問題で、当時、研究室に在籍した研究員や学生が「論文のデータは大きな誤差を含んだ値で、間違いだ」と指摘していたにもかかわらず、松本教授が聞き入れなかったことが分かった。複数の関係者が毎日新聞の取材に答えた。松本教授は、この論文で報告した業績をもとに、国の競争的研究費を少なくとも3件獲得している。研究員らは早大の調査にも同様の証言をしているという。


 問題の論文は中国から留学していた中国人研究者と松本教授の共著で、米化学会誌の01年4月15日号に掲載された。テルビウムという金属の化合物をたんぱく質やDNAなどの生体分子につけて光らせ、ごく微量でも分析できる手法に関するもので、化合物に吸収させたエネルギー(光子)が100%、蛍光として放出されると報告した。


 専門家によると、100%という値は理論的にはあり得るが、実験で出ることは非常にまれとされる。このため、研究員らは同じ条件で再現実験した。その結果、50%を切る値が測定され、松本教授に「論文のデータは処理に不可欠な補正操作をしておらず、誤差が大きい」と何度も指摘した。これに対し、松本教授は「解釈の問題だ」などとして、指摘を受け入れず、論文の撤回などはしなかったという。


 また、研究員らは、生の実験データや解析に使ったデータを探したが、見つけられなかった。


 松本教授はこの研究を国の「戦略的創造研究推進事業(CREST)」の研究費(97〜01年度)で実施した。事後評価書では、この論文の成果を強調、02年度にも同研究費を引き続き獲得した。総額2億9700万円(02〜05年度分、計6チーム)の一部を使って、06年度まで5年間の予定で研究を続けていた。【須田桃子、元村有希子】


蛍光の量子収率ってのは微妙なものなのですが、やはり論文に出すデータは信頼性のあるもので無いとまずいです。
量子収率の高さを売りにするなら、なおさらです。
それほど金を稼ぐ研究なら、信頼性のある追試実験のデータが出た時点でやはり訂正を出すべきでした。
これに関しては、信用できる真の蛍光量子収率が後ほど委員会から報告されると思います。


競争的研究資金を調達することも大事ですが、学究の徒としてのモラルを忘れた時点で、研究者としての資格がありません。
投資信託よりはるかに罪深いです。学術会議や IUPAC のみならず、学問学術への裏切り行為です。
どんなに貧乏な科学者でも、きちんと守ってることです。


大きな捏造事件が相次いでニュースをにぎわせていますが、重点的研究費配分のあり方を少し考え直したほうがいいのかもしれません。
選考のやり方に、何らかの問題が含まれていると見るべきなんでしょう。
なんとなく想像は付きますが。
バイオがらみはお金がかかるのは確かなんですけど、余るほどあげちゃダメだってことです。
世界をリードするような研究でも、無駄遣いさせたらきり無いです。


化学者のイメージが相当悪くなったでしょうね。
しかし、誤解なきようオネガイシマス。
爪に火をともすような研究で、信頼性の高い基礎研究を積み重ねている方ももちろん大勢いらっしゃいます。
自腹を切って研究機材を買っている人も。
うまい売り口上は苦手だけど、意味のある基礎データをきっちり取れる人を、もっと大事にしてもいいと思いますよ。


オレですか?オレはゲリラ戦しかできない男です。