新美南吉

「わしのやり方はすこしばかだったが、わしのしょうばいのやめ方は、自分でいうのもなんだが、なかなかりっぱだったと思うよ。わしのいいたいのはこうさ、日本がすすんで、自分の古いしょうばいがお役に立たなくなったら、すっぱりそいつをすてるのだ。いつまでも、きたなく古いしょうばいにかじりついていたり、自分のしょうばいがはやっていたむかしの方がよかったといったり、世の中がすすんだことをうらんだり、そんな意気地のねえことはけっしてしないということだ」


                           新美南吉「おじいさんのランプ」より