学生さんが、カルボン酸を塩化チオニルで酸クロにする反応をしてました。
が、学生さんが反応を仕掛けて帰った後、別の学生さんが「ドラフトで煙がもくもく出てます」との通報。
行ってみると、オイルバスから煙がモクモク。冷却管が外れています。
オイルバスがぐつぐつ沸いてます。こわ!


原因はこうです。
学生さんはこの反応で二酸化硫黄のガスが出るのを知らずに、風船下で不活性雰囲気としたので、
反応の進行により内圧が上がり、スリが外れて内容物がオイルバスに流出。
オイルバスは PEG だったため、PEG と塩化チオニルが反応し、発熱。
しかも投げ込みヒーターで余計温まってるものだから、PEG が煮えたぎるほど異常加熱して発煙沸騰してました。


軍手して、さっさか装置をどかして、オイルバスを処理しました。
軍手をしていても火傷しました。250度以上ある感じ。
大量の水にオイルを少しずつ投入して事なきを得ました。
サンプルは当然すべて死亡。


もちろん、ガスの出る反応を風船でするのが問題ありなのです。


中国人ぽすどくも、よく密閉系で反応させてます。
「危ないからヤメれ」としつこく注意してますが、効き目なし。
私としては、自分が正しいと信じて疑わない人と研究するのは苦手です。
盲目的に考えずに実験しても、なにもできないでしょうに。
しかも、彼は英語も日本語も苦手なので、聞かれても細かい実験操作の指導ができません。
もっとも指導しても聞かないので、する意味も無いのですが。
なにか考えて、何か混ぜ物をして、単離せずにいろいろスペクトルを取っているようなのですが、「よくわからん」の一点張り。
そりゃあそうでしょうとも。単離してもスペクトルの解釈が難しいような化合物です。
論文の追試すらできないのに、それを原料にして新規化合物が合成できて単離・構造決定できるものか、と。
できるほうが奇跡です。
中国に工場を持った日本の企業で、中国工場の日本人技術者が自殺するケースが多いようですが、わかる気がします。
現地雇いなら命令できるのですが、研究者はそうもいかず、研究室に困惑の種をいっぱい落とします。
今日も学生がブッチギレてました。
別の学生は、彼が場所を問わず「カーッツ、ペッ」と痰を払ったり唾を吐く癖が嫌で嫌でしょうがないそうです。
文化の違いは、ここまで軋轢を生むものかとびっくりせずにはいられません。


以前、合成の研究室で中国人留学生が、安衛法で製造禁止の物質を合成しているというタレコミがありましたが、それを思い出しました。