一番だいじなものは、目に見えないんだ
昨日の結晶は、結局私が作ったものを回折実験しました。
溶液を冷やすと結晶が出るんですが、室温に戻すとみんな再度溶解してしまいます。
完全に溶けきる寸前で結晶を拾い上げます。
もう結晶面なんか蝕像でズダボロで、アメーバみたいな形の結晶なんですが、これが見事に単結晶なんです。
これは、考えてみれば当たり前のことで、結晶成長と同様に結晶の溶解や融解も結晶内の格子欠陥などを足がかりにして起こるので、よく溶かした溶け残りの部分ってのは、結晶化度が当然高いところが残ります。
以前紹介した城さんの記事*1(リガクジャーナル)で、「結晶を溶かせ」とあったのも、それを見越してのことかもしれませんね。
双晶が単結晶よりも大きく成長するのも、日本式双晶が板状に成長しやすいのも、破断面から溶解が優先して起こるのも、欠陥が重要な役割を演じています。
こういうのは、結晶構造解析では手が付けられません。構造解析は平均構造でしかありません。
こういうのを調べるのはトポグラフィーがいいらしいのですが、そこまでする時間が無いのが残念です。