人は どうして こんなにもたくさんのものを 求め 傷つけてしまうのだろうか。

私も、yfrock さんの挙げられていた「本当は怖い天然石のはなし」をちらほら読んでみました。
http://isinohanasi.com/


物理的性質を利用した判別法と、「水晶クラスターを用いた浄化サービス」が両立するのは、やはりおかしいといわねばなりますまい。
あるところまでは現在の科学を利用し、そこから先は「科学者はなにもわかっとらん」と掌を返したように切り捨ててしまうという風に取れます。
それはやはりずるくて、論理的に整合性が取れていません。
書き手が立ち位置をパワーストーンに求めないなら、「浄化」という言葉の裏側にある様々な意味を説き、自分の立場でそれを肯定もしくは否定するべきでしょう。
「浄化」なる処理を行っている場合、それをメリットととらえて商品購入のきっかけにする購入者が必ず出てきます。
それに対してクレームが付けられたときに、対処の方法が無いからです。
無料サービスだから感知しません、というお考えでしたら、最初からなさらない方が無難でしょう。
宗教関連、たとえばお守りの祈祷などでは信ずるもののみが対象ですから、系が異なります。


何よりも怖いなと思ったのは、人の弱さ、脆さです。
石を精神的なよりどころにするしかない人や、溺れるもののすがる藁よりもはるかに頼りない石を、無意識にせよ偽薬効果の依代としてすがってしまう人の弱さに。
すがりつく求心力は並大抵のものではないでしょう。
石はそんなにたいした存在ではありません。
本当に怖いのは、石よりも、人を変えてしまう思い込みの力。


石は何も言わず、ただそこにあるだけです。
それよりもはるかに短寿命な人が、それをかち割り、商業の手法にのっとって流通させていくだけ。
いろいろな人が石に思いをはせ、狂い、妄信し、そして勝手に裏切られて、石の横を通り過ぎていきます。
ただただ、それだけの話です。


そのことにみんなが気付いてくれさえすれば、パワーストーンやストーンヒーリングのブームはごく一部を除いて根こそぎ消滅し、自然への憧憬と美しいものへの欲求だけが残滓のように残ることでしょう。
それは、市場としては現在より縮小し利潤は上がりませんが、より原始的で、健全で持続可能な知的+商業活動になるはずです。
まあ、ブームに乗じてガッツリ儲けて売り抜けってのも賢いやり方なんですけどね。


とはいえ、石に超自然的な力があるって考え方は、有史以来ずっと繰り返されてきているので、消え去ることはまずないでしょう。
みんなが一生のうち何度か鉱物採集に出かけたら、そう考える人は激減すると思います。