絞り付き対物レンズの続き

photo.net の文章を端から読んでみました。
投稿者はまじめに比較しているんですが、ある人のコメントがよくないです。
「顕微鏡対物レンズは接眼レンズ込みなんだ」とか、「固定拡大率で云々・・・」とか。
それは確かに正論なんですが、自分でやってみてからモノ言ったほうがいいのではないでしょうか。
まともすぎてつまらないです。


U10 で試してみるとわかることなんですが、このレンズは実はベローズを最短にしても、周辺減光も気にならず*1、わりとまともな像を結びます。
ちょっと像が湾曲するけど、平面物を撮らない限りは問題にならない程度です。
解像度も良いです。1000本/mm ぐらいは解像します。
軸上色収差の補正もまあまあ。
しかも、ワーキングディスタンスも長いです。ELWD 並にあります。
こいつの最大の弱点は、撮影範囲外の迷光がコントラストを下げやすいのです。
黒味がきれいに出ず、ちょっと灰色っぽくなってしまいます。
撮影範囲内の輝度の高い物体に対するフレア耐性もよくありません。
それと、たぶん倍率10倍ないです。
鏡筒長 16cm の設計だと思うのですが、8−9倍ぐらい。
もしかすると、ユニバーサルステージのガラス半球の拡大率を足してあるのかな?
焦点距離では、19-20mm ぐらいだと思います。


で、投稿者は「ルミちゃん 16歳よりもいいぜ!」って主張するんですが、これには同意しません。
ルミちゃんには、他のレンズにない最高のコントラストの良さと、全撮影倍率における像の平坦さがあります。
この2点は、U10 はやや劣ります。比較チェックしました。
ただ、ルミちゃんは暗すぎるのがつらいのと、軸上の解像度は確かに U10 の方が上なんです。
どっちがいいかって言われたら、私なら「ツァイスレンズ」って答えます。


そうですね。個人的な意見では、新ルミちゃん16歳なら6万出してもいいです。
旧ルミちゃんなら4万まで。
U10 なら6千円まで出します。
そういう性能です。


U10 の作例。
niboshi
ボケはちょっと二線ボケします。ひどくはないです。
色収差の補正状況も悪くないです。
ちなみに被写体は今日のおつまみである「フィッシュ&アーモンド」のイワシの目玉です。


石だとこんな感じに写ります。
anatase
Anatase on quartz (Otome mine)


どうでしょう?
U10 は、今までよく言われてきた


「顕微鏡対物レンズはイメージサークルが小さい」
「顕微鏡対物レンズは像の平坦性が悪い」
「顕微鏡対物レンズは絞れない」
「顕微鏡対物レンズは色収差の補正状況が悪い」
「顕微鏡対物レンズは接眼レンズと込みで収差補正してあるので、直焦点の結像はよくない」


という、まことしやかに伝えられる悪い噂を払拭するだけの性能はあると思います。

*1:たぶん、開放で PB-4 最短で撮影したときの APS-C での周辺減光は、20% 内外でしょう。