紫水晶

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Locality: Osilo, Sassari Prov., Sardinia, Italy


別角度から。
紫水晶の紫色は、大昔はマンガンイオンの含有によるものだとされていましたが、昨今では鉄イオンの電荷移動の着色によるものとされています。
他の水晶はすべて宝石扱いしてもらえないんですが、紫水晶だけは別格です。
これは amethyst (アメジストアメシスト)という名のれっきとした宝石です。
世界各地で産出が見られますが、淡い(淡すぎてはいけない)紫のものが私の好みです。
宝石としては色が濃く、むらがないものが珍重されます。


私だって私だって、ブラジル、RGS 州のぐらい色が濃い紫水晶が山から出てきたら、有給取って掘りに行きますよ。
そんな色が濃いのは日本にはそうそう存在しないので、みんなみんな「色が薄いほうが、処女の恥じらいにも似て云々・・」とか言ってやせ我慢してるんです。
マジな話です。


この紫水晶は古くから知られるサルディニア島(イタリア)のものです。
サルディニア島北部の安山岩質の噴出岩の空隙には紫水晶が出てきます。
すでに採掘を止めた採石所の露頭(上から石が降ってくるらしい)や、道の切り割りなどだそうで。
有名なのは紫水晶なのですが、沸石類も多く、赤い剥沸石、1cmを超える湯河原沸石、ゴナルド沸石などなど。
地質的には、日本では雨塚山の紫水晶産地が近いのかな。
日暮山が一番類似してるかしら。
行ってみたいですねー。


この写真、高解像度で見ると、水晶の内部に負晶が入っていて水と気泡が入っていたり、あるいは鉄酸化物の赤い鱗片状の結晶が入っているのがお分かりいただけるかとおもいます。
http://www.flickr.com/photos/fluor_doublet/3106695611/sizes/o/
下の白いキラキラは方解石です。


普段はこの種の写真は柱面の真横を狙って写真を撮りますが、今回は斜め上から撮って、やや平行連晶に上広がりを持たせて。
平行な部分が平行に写らなけりゃ科学写真としてはよくないのですが。
右の結晶は錐面の成長パターンを、真ん中の結晶は濃い紫と負晶を、左の結晶は透明度と面の艶と母岩との接合を説明するようにしています。
右が窮屈なので、もう1ミリ右にフレームを持ってくるべきでした。

きれいな顔してるだろ 500円のレンズで撮ってるんだぜ それ