モルちゃん

写真は簡単に針状結晶の放射状集合体を作る化合物、テトラフェニルシランです。
ケイ素原子の上にフェニル基(ベンゼン環のことです)が四つくっついてます。
Ph4Si


アルコール溶液を放置すると、蒸発して簡単に結晶集合体ができます。
大変脆くて、触ると粉々になってしまうんですが。
やるまえにやられるんです。
ふわふわ結晶なら売れそうなんですけどねー。
で、写真を撮るにはガラス容器を割らないと無理なんですが、ガラス切りが行方不明になりました。
ビンの奥底のを撮っているので、照明が思うようにいきません。
あとでまた撮ります。


モルデン沸石っぽいので、「モルちゃん」というコードネームで呼んでいます。
この間の池袋ショーで、「お客さんが売り物の okenite を触りたがって困る」と嘆いている業者がいました。
どうやら、あのふわふわは、人を惹きつけて触らずにはいられなくさせる何かの魔力があるようです。
「ちっとぐらい触っても大丈夫」って本に書いた方がいて、それも拍車をかけています。
しかし、触られると売り物にならなくなります。埃かぶったり汚れたりしても掃除不可能。
買ってから自分のを触りましょうね。


炭素類縁体はテトラフェニルメタンです。
Gomberg はアジドの熱分解でこれを作りました。ずいぶん苦労したようです。
ケイ素、ゲルマニウムの誘導体は、大過剰のフェニルグリニャール試薬に四塩化ケイ素、四塩化ゲルマニウムを入れてグツグツ煮ると簡単にできます。
ゲルマニウムのほうはジゲルマンができてしまうので溶媒交換がいるんですけど。
Gomberg はこれをさらに詰めて、トリフェニルメチルラジカルに行き着きました。