「教えるということ」大村はま

古い古い本で、今の時代には合わないかもしれませんが、表題書。
なぜかもう一冊買ってきました。
私が初めて読んだのは高校(高専なんですが)3年ぐらいの時です。
一言でまとめれば、「教えられる側の立場に立ってみよう」、これに尽きます。
こう言っては何ですが、たいへん女性的な教育論なんです。
読めばわかります。共感される方も反発される方もいらっしゃるでしょう。


ちょこっとだけ挿話を引用

私は、どうしていいかわかりませんので、下を向いてもじもじしていますと、先生が一つの話をしてくださったのです。


それは「仏様がある時、道ばたに立っていらっしゃると、一人の男が荷物をいっぱい積んだ車を引いて通りかかった。そこはたいへんなぬかるみであった。車は、そのぬかるみにはまってしまって、男は懸命に引くけれども、車は動こうともしない。男は汗びっしょりになって苦しんでいる。いつまでたっても、どうしても車は抜けない。その時、仏様は、しばらく男のようすを見ていらっしゃいましたが、ちょっと指でその車におふれになった。その瞬間、車はすっとぬかるみから抜けて、からからと男は引いていってしまった」とこういう話です。


「こういうのがほんとうの一級の教師なんだ。男はみ仏の指の力にあずかったことを永遠に知らない。自分が努力して、ついに引き得たという自信と喜びとで、その車を引いていったのだ」こういうふうにおっしゃいました。


教える側は教えられる側に恩を売ってはいけないヨ、それは教えられる側の足かせになってしまう、そういう話ですね。


とにかく粘り強く待つことの大事さを教えられたのもこの本です。


全部が全部受け入れられないんですが、自分にとって大きな影響を与えたのは確かですね。この本。
最近はおかしな親や生徒・学生の混入率が以前に比べて増加してますから、教育者も保身の技術が必要なんですが、それを言ってもはじまらない。


ちょっと話はずれますが、世の中、give and receive で成り立っています。
お世話になった分だけ返しましょう。これは世の習いです。
先生や先輩から貰った恩を倍にして別の後輩に返す、これだけで世の中はもっともっと住みやすくなると思ってるんです。