高校理科教師:自信ない? 「自分の授業が好きな子供は6割以上」9%

http://mainichi.jp/life/edu/news/20090406dde041100033000c.html


タイトルの好きか嫌いかについては主観なので判断に苦しむところがあるのですが。

 生徒の意欲を高めるとされる実験や観察を週1度以上実施している高校教師は、1年生でわずか3%と、小学校の63%、中学校の64%から急減。66%が「授業時間不足」を理由に挙げ、2年生以上に物理、化学、生物を教える教師の6割が「入試指導に時間をとられる」と答えた


高校生になると実験が激減し、詰め込み暗記型の理科教育になるようです。
私は高専卒で、高専時代はうんざりするほど実験しましたが*1、それはそれで幸せなのかな。
今でも実験屋ですし。
頭悪くて理論屋になんてとてもではないけどなれませんが。


科学というのは、自然の理(ことわり)を読み解き、その根底に流れる原理や法則を拾い出す学問です。
実験/観察がない理科教育なんて、譜読みしかない音楽の授業と同じですがな。
それが面白いはずがないです。
まあ、いろいろな原因があるのでしょうが、それで「科学技術立国」はつらいわ。


大学をはじめとする理工系高等教育の場では、課程に研究が入ってきます。
データを読み、内容や現象を正確に把握する。これを記述したり表現したり、仮説を立ててそれを実証する実験や検討を計画したりして、研究は進みます。
暗記よりも、まず考える力。贅肉のない思考の筋道立てを身に付けましょう。
これができないと、本人にとっても大変です。


大事なのは覚えることではなく、考える訓練です。
若いうちにこれを体得しておけば、一生使える道具として重宝しますよ。
高校の教科書に書いてあることは、ごまかした暗記用の抜粋が多いのです。
人間の記憶はいつかは風化し、無惨に崩れて原型をとどめなくなります。
しかし、思考回路さえあれば、いつでも自分の中に体系を再構築できるでしょう。
覚えることなんて、それほど多くはいらんのですよ。
ホントは両方あったら最強なんですが、それは言わんどきます。自分ではできないから。

紀ちゃん「矢吹くんときたら、くる日もくる日もアセトンと真空ポンプと塩化水素の臭いがただよう薄暗い研究室に閉じこもって蒸留をしたり再結晶をしたり器具洗いをしたり NMR を取ったり…。たまに明るいところへ出るかと思えば、そこはまぶしいほどの照明にてらされた学会会場という檻の中。オヤジ臭のたちこめた会場でタチの悪い先生にヤジられ皮肉を投げつけられながら闘鶏や闘犬みたいに水掛け論になって質疑応答しあうだけの生活…しかも、体はまだどんどん大きく伸びようとしているのに、ずっと研究室で実験をしているために食べたいものも食べず、飲みたいものも飲まず…。みじめだわ、悲惨だわ、青春と呼ぶにはあまりにも暗すぎるわ!」


ジョー「ちょっと言葉が足らなかったかもしれないな…。おれ、負い目や義理だけで化学やってるわけじゃないぜ。化学が好きだからやってきたんだ。紀ちゃんのいう青春を謳歌するってこととちょっと違うかもしれないが、燃えているような充実感は今まで何度も味わってきたよ…シリカゲルだらけの実験台の上でな…。そこいらの連中みたいにブスブスとくすぶりながら不完全燃焼しているんじゃない…。ほんの瞬間にせよ、まぶしいほどまっ赤に燃えあがるんだ。そしてあとにはまっ白な灰だけが残る…燃えかすなんか残りやしない…。まっ白な灰だけだ。そんな充実感は化学をやるまえにはなかったよ。わかるかい紀ちゃん。負い目や義理だけで化学をやってるわけじゃない、化学が好きなんだ。死にものぐるいで実験する充実感が、わりとおれ、好きなんだ」


紀ちゃん「矢吹くんの言ってること…なんとなくわかるような気がするけど…わたし、ついていけそうにない…」

*1:週12時間実験実習レポート書き3つはつらかった記憶あり。