床屋の鋏

いきつけた床屋で散髪。
鋏の話に。


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この店のオヤジの愛用する鋏はコバルト製で、23諭吉するんだそうです。
うえー。そんなにするの?
どの道もプロの道具は値が張りますが、理容鋏も例外でないようです。
刃物は高いんだよな。
そのぐらいの価格の鋏だと、ずっとただで研ぎ直してもらえるんだそうです。
研ぎの頻度は使い方によりますが、メインが三本で、これを交互に使って、年一回研ぎに出す程度だと言っておりました。


廉価グレードの鋏はステンレスで4諭吉くらい。中庸のはコバルト製で20諭吉、上はまたステンレスだそうで。もちろん値段は青天井。


コバルト製のよさは、堅くなく軟らかくなく、中間調の切れ味が長く持続するところにあるんだそうです。
合金系の刃はそうですよね。
ヤスキハガネなんかだと、研げばピーク性能の刃がすぐ付きます。しかし、すぐなまります。
合金系はそこまでの刃は付きませんが、なまりは遅く、じんわり切れ味が持続します。
床屋の鋏は水仕事だから炭素鋼は使えないんですが、鋏は誰にでも研げる刃物ではありませんから、粘りがあり、錆びないコバルト合金が好まれるのでしょう。
昔は理容学校でも砥石を買わせて研ぎを教えたそうなんですが、裏打ちのあるステンレスの鋏が素人に簡単に研げるはずもなく、やはりサワリ程度で「刃物のプロにまかせなさい」という話になるんだそうです。