日本硝子細工夜話

安い出物を見つけたので捕獲。
この日記でもたびたび紹介したり引用したりしたのですが、オリジナル本を確保しました。
日本理化学硝子機器工業会発足十五周年で企画された、日本の理化学ガラスのルーツと分家について余すところなく記述された唯一無二の本。
資料的価値も高く、読んでも面白いのです。
昭和四十年までのメーカーの創業話がたちどころにわかります。
今は後継者不足と、外国製の生地と、機械製作によって多くの理化学ガラス工場がなくなってしまいましたが、現在でも、難しいワンオフものの依頼は、腕の立つ職人でないと無理です。
職人芸を笑う人には、研究は困難。


まあしかし、これを読んでも細工はうまくなりませんよ。実用書ではありません。
この間も、東大工ではキャピラリ引きしか教えないという話があり、そんな時代なのかなと思いましたが。
ガラス細工は、効率主義の流れのなかで、顧みられることのなくなった忘れ物。
いつかそのしっぺ返しにあいます。
といいますか、最近のメーカーの細工はかなり質が下がり、自分の仕事にも責任を持たないところが少なくありません。
使い手も、メーカーの技術低下にけちを付けないし。
私はメチャクチャ文句付けます。憎まれっ子なのです。
技術の世代断絶が起こりはじめてますからねー。
特に、蒸留モノは露骨にその傾向が出始めてます。
これは、職人芸の一番悪いところです。
図面はみんな頭のなかなんだから、まいっちんぐ
勘所を化学屋がガラス屋に教えてあげないとね。
できの悪いのは突っ返しましょう。