生えるよ、全然生えるよ?

昨今の、水に溶けるケイ素化合物を水に混ぜて売っている業者の宣伝文句の一つに、こういうのがあります。

韓国では古くから「川辺でする洗濯は、石英(珪石)の岩場で叩き棒にも石英(珪石)を使いなさい」と言い伝えられています。それは石英または珪石の特徴として、石英にはコケが生えないことからです。

これについてもの申します。


石英は水に対する溶解度が非常に低く、ほとんどと言っていいほど水に溶けません。
硬度が高く、化学的安定性が高く、風化にも極端に強い特徴があります。
そのため、大規模な石英脈や珪石鉱床は、こんな感じでポッコリと地表に突き出すことが多いです。
真ん中にぽっかり出ているのが石英脈の露頭。
DSC_0239
岩石が風化してその上に植生ができるには、植物の根がかりとなる部分が必要なのですが、石英は水や酸素に対する抵抗力が高くて風化しづらく、他の岩石に比べて植物の根の侵入を拒む傾向があります。
また、結晶の粒度の大きな石英よりなる珪石は、結晶粒界が少なく、やはり植物が根をぶち込む隙を与えないようです。
長石などのケイ酸塩鉱物は加水分解で粘土鉱物になり、「土」となるんですが、石英は分解することなく、粉々になっても「砂」にしかなれません。
しかし、根をこじ入れるのが困難でも、コケは普通に乗って生長できるんですね。
こんな感じ。
DSC_0237
流れのある沢の中では、剥がれ落ちてしまうんですけど。
結晶粒の大きな珪石上にコケが生えないのは、石英がコケを生やさないような成分を出してるわけでも浄化しているわけでもなく、ただ単に植物が根を下ろす隙間ができづらいという理由からでしょう。


なお、石英塩基性岩や炭酸塩岩を除くほとんどの岩石に、かなりの割合で含まれています。
珪石の鉱床じゃなくっても、いくらでも石英ってのは地殻中に存在します。
クラーク数1番と2番のくっついている鉱物ですから。
だから、山を駆け巡って鉱物を探していると、他の鉱物はぐずぐずに酸化したり加水分解していても、風化に一番強い水晶だけはそのまま残っていることが多いのです。
私がいつも「水晶だけは拾ってきたよ」と書くのは、そういうことなんですね。