オオカミ
ニホンオオカミは、かつて日本に生息したオオカミの一種で、絶滅種です。
記録を見ると、明治38年(1905)年に奈良県で捕獲されたのが最後だそうです。
秩父界隈では、山犬信仰というのがあり、これがニホンオオカミのことなのか、あるいはヤマイヌ (Jamainuと記載されている) という種が別に存在したのか、どうもはっきりしません。
秩父で、「お犬様」とされているのは、どうもオオカミっぽいんですが。
数日前に日記に紹介した川上犬も、山に雌犬(柴犬)を固定放置し、オオカミによる種付けを得たようです。
オオカミをご神体とした神社は秩父界隈には多く存在します。
秩父の三峰神社、奥多摩の御岳神社が筆頭でしょうか。
キツネは御眷属と呼ばれ、神の使い扱いされていました。
オオカミも御眷属とされていたのですが、「神の使い」ではなくホントの神の化身とされていたもののようです。
↓これはウチにある清水武甲の写真です。三峰神社ですね。
いろいろと調べてみると、オオカミってのはものすごく頭が良かったようです。
川上犬はほとんどオオカミの血を継いでいませんが、アレよりずっと良かったのでしょう。
江戸時代の怪談書「煙霞綺談」に少しオオカミの話が出てきます。
「こっちから害を加えなければ、向こうも襲ってくることはないよ。
ただ、恥ずかしがりで、交尾のシーンに出会っちゃうと、その恥辱を晴らしに後でやってくるから、こっちも脱ぐといいよ。」って話です。
面白いのな。
山間部の民間信仰では、チンチンを出さねばならない場面がよくあります。
十二様信仰で出てくる「山の神様はエッチな女の神様だから、男性自身を出すと探し物を代わりにしてくれる」ってのもそうでしたね。
時は流れて、現代人はそういうのをみんな忘れてしまいましたが、ちょっと前まで日本人ってそういう民族だったんです。
酒飲んで裸踊りなんてのは、そんなたいした話じゃないって。
北海道では、明治初期はエゾオオカミが大量に生息していたそうです。
明治初期に日高、新冠で牧場を開いた際には多くの馬が襲われ、ほとんどが喰い殺されてしまったとのこと。
そこで、明治10年からオオカミの討伐が企画され、硝酸ストリキニーネによる毒殺と報奨金を積んだ狩りにより、明治20年代後半にはエゾオオカミはほぼ絶滅したとされています。
ついこの間、私たちのじいさんのじいさんが元気でやっているころは、狼が山を闊歩していました。
彼らは、シカやイノシシを倒し、本州山間部の生態系の頂点に位置する存在でした。
その頃、狼は神として扱われ、狩りで追い立てることも、直接狼に襲われることもなく、うまくテリトリーを分けて暮らしていました。
それから100年が過ぎ、人はいつしか自然との付き合いを忘れておごり高ぶり、神は山から去ってしまいました。
信仰対称を失い、今の人の心は行くあてもなく、漂っているように思えてなりません。
また、シカ/イノシシによる食害やヒルの害も、そのしっぺ返しなのかも。