双晶
再掲。
学問上の双晶の定義で、一番 reasonable な考え方。
(R. W. Cahn, Adv. Phys., 3, 363 (1954).)
1. 多結晶である。
2. 双晶を構成する要素の結晶軸方位の間に一定の法則性がある。
3. 天然、あるいは人工的にしばしば再現される。
しばしば化学の人が「双晶で構造解析できない」っていう話を聞くんですけど、私はその場合およそはただの多結晶(束状の集合体とか)だと考えています。
それは、ホンモノの双晶に触れたことがないためではないでしょうか。
「規則性、法則性のある結晶集合体」、これが双晶です。
だから、こういうのは双晶って言いません。ただの集合体です。
水晶の双晶だと、わかりやすいのは日本式双晶で
二つの結晶がある規則性を持って接合しているというのがわかります。
二つの結晶の柱面は完全に平行で、c 軸のベクトルが同一平面に乗り、それらのなす角度は約84度です。
結晶の粒界は、こんな感じ。
もっとわかりづらいのはこれ、ドフィーネ式双晶。
単結晶にしか見えないのですが、実はこれ双晶です。
c 軸(長軸)は完全に同一方向を向き、a 軸が互いに 60度ずれた2つの結晶の集合。
キラリティはいずれも左。
肉眼観察では、表面光沢と、条線の波打ちを見ないと双晶だと気付きません。
さらにわかりづらいブラジル式双晶。
これは、完全に鏡像の関係にある二つの水晶により形成されています。
写真はわかりやすいのを選びましたが、普通は肉眼で判定するのは困難です。
水晶のみならず、多くの無機化合物、有機化合物において見い出されます。
私も多く出会います。ほとんどの場合、無視します。