水晶の日本式三連双晶

新宿ショーで拉致ってきたものの続き。
クリーニングを途中で切り上げた三連です。


水晶の日本式双晶は、c 軸が互いに角度を持っている傾軸式なんですが、こんな感じのものです。
これはこの間掘ってきたヤツです。
Japanese_law_twinning_of_quartz3


双晶は基本的には面の欠陥であり、いわばボタンのかけ間違えのようなものです。
日本式双晶におけるボタンのかけ間違えは、実験では結晶の核形成時にすでに起こり、不純物イオンがそれの原因になっているという報告があります。
たまーに、二カ所かけ間違えると、三連双晶というのができます。
水晶の場合、これはものすごく珍しくて、私の知る限り、大昔に乙女鉱山のモノを粟津先生が報告したのと、奈留島のものと、川上村のものと、栃木のものと、三ツ岩のものぐらいです。
一番最後のは、私の母校の先輩が報告し、比較的多産したのでみんな持っていると思います。
Japanese-law triplet twinning of quartz


今回拉致ってきたのは、マダガスカルのものです。
しばらくクリーニングしていたアレです。
照明が難しいんですが、こんなの。
DSC_1210


平板の双晶に、もう一個平板の枝が途中から生えているような感じです。
DSC_1211DSC_1212
上から見ると幹の水晶に二つの枝が生えて、枝同士のなす位置関係が60度ずれています。
DSC_1216


もう一個はこれで、あまりにもザラザラなんでクリーニングする気も起きませんでしたが。
DSC_1218
これも平板の日本式双晶から、枝がもう一個生えたタイプです。
晶癖的に微妙だなと思ったのですが、脳内面角測定を行うとこれは三連っぽいのです。
なんで思いっきり値切ったのですが。
これは枝同士のなす角度は、120度の関係にあります。
DSC_1217


この水晶を観察すると、最初は普通の日本式双晶で成長をはじめているのですが、成長の途中である種のきっかけでもう一回双晶
のきっかけとなる欠陥ができ、重複双晶になっているのがわかります。



マニアどころこてこてで申し訳ないんですが、こんなのを新宿ショーでは見てました。
400ちょっとの双晶にまぎれて入っていたのが3つ。
たぶん1時間ぐらい観察してました。おかげで飯田橋に行くのが遅れたのよね。
最後の一個は誰か買ったかしら?
病膏肓に入るとはこのことなんですが、ビョーキ的な水晶好きは三連には目の色を変えます。
ほんとビョーキですよね。こんなもののどこがいいんだか。