日食

今月22日(水曜日)は日食です。みなさん機材の調達、日程の調整はお済みですか?
私は仕事をさりげなく抜けます。が、観測地は神奈川です。7割半しか欠けません。
食の始めは9時55分、最大食が11時12分、食の終わりは12時30分です。
このぐらいの欠け方では、普通に生活していても日食だって気づかないんですよね。
金環日食でも「なんかちょっと暗いかも」ぐらいでしたしね。


日食中に森に入ると、木漏れ日の太陽像が欠けているのがわかります。
ピンホールカメラと同じ原理です。
おそらく、今回はこれの写真を撮っておしまい、ということになるかと思います。


なんで関東平野部が皆既帯に入ってねーんだよ(怒)。
皆既帯は、南西諸島で、屋久以南奄美以北です。母島はギリで外れてます。
北硫黄島硫黄島はドンピシャ。おが丸ツアーが出るのかな。


大いなる太陽系の旅

大いなる太陽系の旅

大型本で、ちょっと高い(0.82諭吉もする)のですが、見飽きません。
すげー。ボイジャーハッブルもマゼランもすげー。
探査機 + CCD + 画像処理技術の極みで魅せる太陽系の様々な姿。知らなきゃ損します。


一番すごいなーと思うのは探査機のスイングバイ(フライバイ)の技術です。
探査機を太陽系惑星に狙って軌道に乗せ、惑星重力圏に向かわせます。
すると、探査機が惑星の重力により引き寄せられ、惑星に向かって加速します。落下ですね。
そのとき、ある角度と速度で惑星とずれた方向に落とすと、惑星には落ちずに惑星近傍をすり抜け、惑星の重力を使って探査機の軌道を自在方向に方向転換し、加速させることができます。
これがスイングバイです。
しかし、ちょっとでも軌道に入る角度や速度を間違えると、探査機は惑星の引力から逃れられずに惑星に落下するか、さもなくば遠心力であさっての方向に飛んでいってしまいます。
きっちり探査機の現在座標と運動のベクトルを計測し、寸分違わぬ軌道で惑星重力圏に叩き込んで、引力で加速してそれを推力とし、さらに次の惑星でも同じことをします。
ちなみにボイジャー1と2の軌道は、こうなってます。

ボイジャ−2の場合、木星の重力で加速して土星方向にすっとばし、土星の重力でさらに加速して天王星にすっとばし、天王星でまた加速して海王星にすっ飛ばし、海王星では減速して太陽系外に放り出しました。
これ、すごい技術です。神がかってます。
太陽系にはそれなりの濃さの星間物質(気体)があり、探査機がゆっくりと減速してしまい、途中で加速できないと太陽系脱出が不可能になるので、この技術を使うのだそうです。
スイングバイと同時に、惑星の映像を収め、これがこの本に多く収録されています。


人工衛星の地球スイングバイでは、1cm/s の単位で速度制御するらしいです。秒速何キロって速度で動いているものをですよ!
一番優れた技術は NASA にあるんだそうですが、悪魔の技です。
NASA ってのはすごくヘンテコな機関で、以前「天文ガイド」かなんかで読んだことがあるのですが、日本のアマチュア小惑星研究家のところに、NASA の収集したデータを段ボール何箱分もドカッと送りつけてきたんだそうです。好きに使え、と。
粋なはからいですね。日本の国研にはそんな真似は絶対にできません。
じゃくさも管轄が変わり、よりお役所的になってしまうのではないかと危惧しています*1
夢がなければ科学なんてできないぜ。

*1:ちなみに私の携帯電話のストラップは、今はじゃくさです。前はなすだでした。以前この日記でお見せしたアレは、ソレ用のものだったのです。あんな高い材料は、そういう(お金を湯水のように使える)用途にしか使えません。なお、前に蒸留風景をお見せしたアレは、反応二段階後に紡糸しチューブに編んだものが、宇宙を飛ぶ飛行機の外壁耐熱パネルのシール材として使われています