クリプトメレーン

Cryptomelane


マンガン鉱物は、空気および水の作用で酸化を受けてマンガンの酸化数が上がり、4価の酸化物の状態が一番安定になります。
このとき、アルカリ金属イオンがそばにいると、そいつを鋳型にして、クリプトメレーンと呼ばれる複酸化物を作ります。
マンガン酸化物が形成するチューブ状のトンネルの中にアルカリ金属を押し込んで、並べたチクワがいっぱいできるんです。。
イメージとしては、並べたチクワキュウリのキュウリがカリウムで、チクワがマンガン酸化物のものですね。
あまりキレイな結晶にならずに、いつもいつも、こんな感じのモコモコになる傾向があります。


クリプトメレーン中のアルカリ金属イオンは、チクワ側の負電荷のつりあいでトンネル中にもぐりこんではいますが、かなりよくイオンが動きます。イオン交換もできます。
グラファイトの層間化合物とおんなじ。
例えていうなら、ゼオライトのかごのマンガン酸化物版みたいなものです。
カリウムのかわりにナトリウムが入ったのが、我らが愛すべき渡辺先生の名前を貰った「万次郎鉱」です。バリウムを拾ってくれば hollandite です。
万次郎鉱は小晴鉱山まで拾いに行ったのですが、写真を撮るほどのものがありませんでした。
水晶は拾ったけど。小晴はいっぱい落ちてるのね、水晶。


地味で同定が難しく、分析を交えなければはっきりしたことが言えないマンガン酸化鉱物は、まさに通好みの鉱物なのです。