羅臼
- 作者: 甲斐崎圭
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 1994/10
- メディア: 単行本
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海の深いところにいるバフンウニはあまり美味しくなくて、浅いところでコンブ喰ってるヤツがうまいとか。
北方領土はホントにロシアに不法占拠されているとか。
いろいろ勉強になります。
地元衆の話を中心に本が組み立てられ、経験者の含蓄のある言葉は、蝦夷の厳しさそのまま。
羅臼と言えば、武田泰淳の小説「ひかりごけ」で扱われる事件のあったところです。
最果ての雪と氷に閉ざされた知床に放り出され、社会と完全に遮断されてしまうようなトラブルがあれば、人は獣に戻り、仲間の肉を食べてでも生きようとするでしょう。
私もその立場なら、そうするかもしれません。
新田次郎「風雪の北鎌尾根」で書かれるほど、人は聖人君子であるとは限らず、生への執着は簡単に社会のタブーを破棄し得るだけのなりふり構わなさを含んでいます。
バイタリティーって、そんなにきれいごとじゃないんです。
自然相手の仕事は、厳しいのです。