ニコン箱、ツァイス箱、ライツ箱、オリンパス箱に続き、ポラロイド箱が来ました。
旧時代のウルトラマイクロニッコールの箱は、クルミのオルゴール箱。中はエンジのビロード張り。
顕微鏡部門では合板のものが新しいものに多く、古いものでは革箱があります。
リプロキット PF は横が張り合わせのシーダー。天板はパーティクルボードですが、これは精度保持のためでしょう。
ツァイス箱は、古いものは厚みのあるパイン材。Carl Zeiss の銘が入った鍵が付きます。ビロード張り。
ライツ箱は家具調。ラッカーかカシューフィニッシュ。板は合板。ホゾはやはり日本製には太刀打ちできず。
オリンパス箱も合板。緑スポンジがボロボロになるので厄介。
ポラロイド箱は金属製でした。アメリカンだな。


どれが一番良くできてるかって言ったら、ウルトラマイクロの箱でしょう。
28mm も 55mm もレンズ胴はたぶん快削黄銅を削り出してるんだと思います。これにクロムメッキして、最後に仕上げ切削研磨。
小さいレンズなんですが、ズシリと重いのです。
箱までこんなに作り込むことは無いのに。
だって、この種のレンズは装置に据え付けたら、箱はもういりませんから。
工芸品の域ですよね。


昨今、生産効率、コスト削減を追い求めるあまりに、こういう嬉しい気遣いは見られません。
必要の無いコストはできる限り削らないと、他社との競争で勝てません。
古いものは耐用年数でさっさと捨て、新しいものに買い替えてもらわないとね。
製品に対する誇りも、多少は減じているだろうと考えます。


1960年代の、レンズが収納されていたクルミ材の小箱は、昔々の技術者の製品に対する誇りの顕れなのです。
安かろう悪かろうの製品をポンポン矢継ぎ早に市場に出す、大量生産大量消費の戦略とは対極の位置にあります。
オーバースペック、オーバークォリティ。いいじゃありませんか。
ホンモノを見抜く目を持たないとね。