水晶は三方晶系

うっすらと淡い煙水晶@山形産
tateyama


根元は六角ですが、先端に向かいその3つの柱面が細くなり、先端部はきれいな三角形。
これでいいのです。


水晶の中の原子の並びの対称性は、6回回転対称(くるりと360度回すと、その間に同じ並びが6回出てくる)のによく似てはいるんですが、それが少し乱れて、3回対称なんです。
だから、伊豆にもありますけど、三角柱の水晶ってのもあります。
この、軸をくるりと回すと、360度のうちに同じ原子の並びが3回出てくる対称性をもった結晶系のことを、三方晶系(さんぽうしょうけい、trigonal crystal system、通称トリゴナル)って言います。
水晶は三方晶系です。
この原子の並びにもさらに細かい対称性があります。
こういう、結晶の中の原子の位置を調べる学問を、結晶構造学といいます。
対称性は数学できちんと定義され、結晶のように繰り返し対称があるものは、空間群という群論で表現することができます。
結晶の形状の美しさは、それを構成する原子の並び方、ミクロの対称性が三次元方向に並んでマクロとなる過程で出てくる「対称の美」が大きな要素を占めます。


ちなみにこの産地は、山形の山間のスギの植林の中にある小さな小さなところで、花崗岩石英脈がちらほらあって、小さなポケットもたまにあって、ほじくると出てきます。
この日本には、小さいものを入れればほぼ無数に水晶の産地があります。
石英の自形結晶が水晶ですが、地殻中で一番多い元素と、二番目の元素の結合したものだから、ホントにどこにでもあるんです。
トコトコと、山をふらついて散歩していると、よく落っこちてますよ。