空から降ってきた仕事

三連荘で、格子定数が30オングストロームを超える結晶の単結晶構造解析。
こいつは難儀だ。一つは triclinic, 一つは orthorhombic, 最後は tetragonal だった。有機分子としては tetragonal は珍しい。
分子の対称性がそのまま結晶系に出ているんだけれど。


イメージングプレート、バリバリに酷使してるな。


イメージングプレートは富士フィルムが開発したX線の検出フィルムで、ユーロピウムをドープした BaFBr を塗布したフィルム。
これは、X線によって電子励起が起こり、励起電子は結晶格子の欠陥に引っかかって、エネルギーデポジットされる。
これで露光したIPに、レーザー光を当てると、また基底状態に落ちてくるんだけど、このときに蛍光が出るように希土ドープされている。
端からレーザースキャンして、生じた蛍光強度を読み取れば、デジタルデータでフィルム現像ができる優れもの。
昔の四軸回折計などに使われたカウンターは、ほとんど使われなくなった。個人的には好きなんだけど。



島崎先生の著書に、新しい鉱物 BaFCl を発見した際に、科博の IP ガンドルフィーで回折パターンを取ったという話が記述されている。
サンプルも検出器の蛍光材も同じだ、というのが楽しい。


石の上にも五十年―一鉱床学者の閑談36話

石の上にも五十年―一鉱床学者の閑談36話


この本を島崎先生のご好意で献本頂いてしまったのだけれど、ワクワクしながら端から拝読している。
これについてはまた後ほど。