ゴールドラッシュ

doublet2005-02-26


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050226-00000509-yom-soci


金の「山吹色」には、万人を魅了する何かがある。
高い化学的安定性、密度の高さ、希少性もさることながら、やはり、「山吹色」が最も顕著な金の魅力なのではないか。
色のハッキリ付いた金属元素はそう多くない。セシウムビスマス、銅、金ぐらいか。
セシウムは危ないので楽しめないし*1ビスマスは曇るし脆すぎる。
銅の赤銅色も魅力的だが、希少性は無く、くすみやすい。


銀色と表現される金属も、比較すると光輝がまったく異なる。
スズの錫色、銀の銀白色、鉛色、タンタルの鋼鉄色。
酸化されやすい金属はこれに錆色が出て、風情をさらにかもし出す。
ランタンの錆色は斑銅鉱にも似て美しい。


やはり金だな。これは別格だろう。
金粒を扱うと「顔なしごっこ」がしたくなる。


化学をやってる立場としては「水銀」の魅力も忘れられない。
古今東西、数多くの化学者がこの金属に惚れ、そして、病んで死んでいった。
液体であることもさることながら、特異な反応性など、「水銀でしかできない」物性、反応性が多い。
ホントに水銀だけなんだ。これが。
お前だけなんだ。お前がいなけりゃオレは何もできないんだ。
その毒性の高さゆえ、今の御時世ではなかなか有機水銀化合物を扱えないというのもその神秘性を高めている。
性悪女のタチの悪さにも似て、魅力的で、火傷をする危険性が高い。


以前、研究でジ-tert-ブチル水銀を使うか否かという話があったのだが、丁重にお断りした。
こいつに惚れてしまうと、ろくなことが無い。
知人(痴人ではない)は博士論文で有機水銀化合物を扱ったが、別の仕事場に移ってもなお、水銀から離れられない。
きっと、惚れ込んじゃったんだろうな。気の毒にも思うし、うらやましくもある。
この、「禁断の実」性は他の金属にはほとんどないものだ。金にも無い。


水銀をイラストにするとしたら、小柄な美人の女で、泣きぼくろがあるだろうな*2

*1:すぐ火が出る。2回出した

*2:オレは泣きぼくろに弱い。