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盛口 満「僕らが死体を拾うわけ」どうぶつ社
とても面白い。動物に限らず、植物の話も。
学生とのやりとりの中で、著者とみんなが博物学を楽しむ話だ。
ページの6割が文、4割がスケッチなのだが、このスケッチが実にうまい。
タヌキが秋によく車にはねられる原因がわかった。
スケッチのうまさと字のきれいさはあまり関係がないと言われる*1。
オレの教わった先生もそうだった。
先生は、絵はむちゃくちゃうまいのに、字は、いわゆる「ミミズののたくったような」字だった。
まあ、字のきれいさには scientific な要素は皆無なんだが。
いわゆる様式美だ。
コミュニケーションの手段なので、読めないのは勘弁してほしいが。
この間の調査では、植物を扱う学者と一緒だったのを思い出した。
オレは本業ではないので、見習いで空中写真で見える構造リニアメントの由来を求めていたのだが、同じ道を歩いても、分野の違いでここまで見るものが違うのかという事実に驚愕。
たとえ別の分野とはいえ、その道のプロの話は、どの業界の人とでもとても興味深い。
同じようなどっきり感がこの本にもあった。
*1:似たような話で、「化学実験の腕と料理の腕は相関がない」というのがある。正確に言うと「合成のうまいヤツは料理もうまいが、料理のうまいヤツが合成がうまいとは限らない」という話だ。