光学活性な分子の結晶学

要注意語句。

  1. 「キラルな結晶構造」と、「キラルな空間群」は意味が違う。空間群 P21 に含まれている分子はキラルだが、空間群はキラルではない。対称要素の配列とその鏡像を比較するとその意味が分かる。「キラルな構造」なら間違っていない。
  1. 「絶対配置の決定」と、「絶対構造の解析」も意味が違う。「絶対配置」は分子構造の表現で、「絶対構造」は結晶構造に対する表現。詳しくは Flack の論文を参照のこと(H. D. Flack and G. Bernardinelli, Acta Cryst., A55, 908 (1999))。X線でのみ絶対構造の確定ができるのなら後者。旋光度やCDをX線と絡めたら前者に相当する。determination of absolute configuration の語句の意味は相当重い(H. D. Flack, Helv. Chim. Acta, 86, 905 (2003))。