マンガ

尾瀬あきら「オンサイト!」一巻を買って読みました。
岩登りの話です。好きだな、こういうの。


オンサイト!(1) (モーニング KC)

オンサイト!(1) (モーニング KC)


気になったのは、岩の描写です。
岩の質がわかるような絵が要所に欲しかったです。岩登りの話ですから。
きっと、岩石が描き分けられるようになると、絵にリアルさがすごく出るでしょう。
ドロミテを描くのに、花崗岩の岩の資料を使ったら、違和感があるはずです。
丁寧な絵が売りの著者ですので、がんばって。


人工登攀でもフリーでもボルダリングでも、登攀ルートの困難さと地質には密接な関係があります。
岩石や節理、層理の有無、方向などです*1
これにホールドの質や密度がすごく影響を受けます。
ラクションもまったく違います。


石を探していると、車から露頭を見て、岩石種がおぼろげに見当がつきます*2
岩石種に独特の色、風化の仕方、堆積の癖、節理の癖があるからです。
粘板岩と花崗岩を見間違えることはまずありません。
そのぐらい違うのです。


でも、そこらへんは話の本質には何も関係ありませんし、表現が難しいので、やはりないものねだりなのでしょう。
いろいろなマンガに岩や石が出てきますが、ほとんどが想像上の「岩」で、質感にはたいへん乏しいものが多いです。
木には注意を払う人がいて、針葉樹と広葉樹を見事に描き分けている人もいるんですが、岩に気を使う人があまりいないのは少し残念に思います。

*1:一の倉があれだけ難しいルートが多いのは、傾斜や岩肌の状況もさることながら、節理の方向が普通とは逆だからです。雪崩のせいかな?

*2:地質屋は、無意識のうちに目に付く身の回りのすべての岩石を同定しようとします。私はもちろんそこまでしませんが、自形の結晶を見ると必ず結晶系を判定しようと考えます。