真っ白な灰(from あしたのジョー)
元素分析*1屋に測定のノウハウを教えてもらった。
彼女のスキルはすこぶる高く、一般的手法ではなかなか合わない難燃性化合物をきれいに燃やしてくれる。
ホントに理想的。仕事も速いし。
常に勉強と試行を繰り返すがんばり屋さん分析屋なので、安心して貴重な試料を預けられる。
ほか*2では望めない技術があり、それを不断の努力が支えている。
空気中の酸素や水分と瞬時に反応するような、超不安定ものでも大丈夫。
「炉の中に妨害元素が残るからやです」なんてこともいわない。
彼女が「今すぐ測定できますよ」というタイミングを電話で知らせてくれるので、電話が来たらサンプリング。それをあわててアルゴン雰囲気で持って行き、すぐに秤量して測定。
手順としては、秤量済みのスズ箔ボートをグローブボックスに持ち込み、これでサンプルを丁寧に包み、ミクロバランスで秤量。これを一度開封して助燃剤を程よくトッピングし、これを焼く。
ホイル焼きと同じだ。
料理のホイル焼きと違うのは、ホイルが瞬時に燃え上がり、その時の高温の燃焼熱でサンプルまで完全燃焼するということだろうか*3。
ジョー「そこいらのれんじゅうみたいにブスブスとくすぶりながら不完全燃焼しているんじゃない。ほんのしゅんかんにせよ、まぶしいほどまっかに燃え上がるんだ。そして後にはまっ白な灰*4だけが残る。燃えかすなんか残りやしない。まっ白な灰だけだ」。
不完全燃焼は炭素の含量が小さく出るのでよくない。
灰は、含有元素次第だが、癖のあるサンプルだと炭化物の形で炭素が灰に残ってしまい、これもよくない。
いかに炭素分を完全燃焼させて二酸化炭素にするか、ここに元素分析屋の腕の差が出る。
彼女はまさに矢吹丈*5。
で、今回も炭素含量が期待値と 0.01% のズレ内で合致。
すごいね。感謝感激。助かる助かる。
これがずれるとひどい目に遭う可能性が極めて高かったので、むちゃくちゃ嬉しい。
一日ぐらい、あなたの奴隷になってもいいっす。
写真はサンプル保管と移動時に用いるミクロベルジャー。
盤はアルミです。静電気防止かな。