ハチと私
今年はハチが多いらしく*1、ハチの話をいくつかのブログで読んだので、ハチの思い出を。
オレがハチに刺されたのは、ジバチ(クロスズメバチ)が一回、アシナガバチが一回、ミツバチが数回。
オオスズメバチなど、おっかないハチ*2には刺されたことがない。
だから、ハチにはそれほど怖い思い出がない。標準レベルだろう。
ヤツラは夏から秋にかけて、えらく攻撃的になる。
数年前にキサモリに行き、最近できた鉱山への分岐のところに車を停め、さあ歩こうかと思ったら、無数のオオスズメバチが襲ってきた。
どうやらあのあたりに巣を作ったものらしい。
カチカチと威嚇音を出し、明らかに目を狙ってくる。
車から降りられない。ヤツラはヤル気だ。
しばらく車内で待機していたが、フロントガラスにカンカンあたり、攻撃がやみそうにないので、沢の出合まで車で侵入した*3。
ハチは車にしばらく付いて来たが、あきらめていなくなった。
あとで、車を沢の出合で転回させるのがたいへんだった。
ジバチの巣を踏み抜いたことが2回ある。
ジバチは小さな黒いハチで、ぶん殴って死体を観察すると、やはり凶悪な顔をしているスズメバチだということがわかる。
いずれも杉林のはずれ、林道に出るそばだった。
一回は大量のジバチに襲われ、走って逃げて、マンガのように川に飛び込んだ。
腕を一箇所刺されたが、ひどく腫れるようなことはなかった。
ジバチは、巣にいたずらしなければ、そうそう襲ってこない。
アシナガバチは、以前のバイト先で知り合った陶芸家と一緒に、登り窯の窯口付近に作られてしまった巣を除去しようと、灯油をかけているときにやられた。
普通、田舎ではハチの駆除には灯油を使う。
あとで考えると、灯油はあまり使いやすくない。
そう簡単にハチが死んでくれないのだ。
昆虫は気門から溶剤が入るのが苦手らしく、有機溶剤に弱い。
で、様々な検討の末、ハロゲンを含むものは殺傷能力が極端に高いということがわかった。
仕事場に出るゴキブリを種々の溶媒でぶっ殺した結果、アセトンやエタノールはほとんど効かず、THFはゴキブリの色素が溶け出し、気持ちのいいものではない。
ヘキサンを代表とする炭化水素も、しばらく生きている。
灯油はヘキサンと同じ炭化水素のカテゴリーに入る。
ところが、ハロゲン系溶媒は違う。
瞬殺。10秒生きられない。いいとこ5秒。
ハチにも劇的に効き、溶剤さえかけられれば、必殺である。
もし、この日記にたどり着いた人で、ハチの駆除に携わっている人がいたら、薬局でジクロロメタンの購入を強く勧める。
クロロホルム、四塩化炭素は入手が難しいだろうから*4。
農薬の噴霧器に、四塩化炭素かジクロロメタンあたりを入れれば最強かも。
もっとも、素人さんは巣には手を出さないほうがいい。オレも含めて。
オレも好きでハチを怒らせているわけじゃないんだけど、山に行くとどうしてもね*5。
知り合いの地質屋に聞いたら、ハチ刺されは桜の皮がいいらしい。
桜の皮を刺された部位に張ったり、あるいは噛んだりして治すものらしい。
ハチはタンパク毒で、抗原抗体反応に基づくアナフィラキシーが怖いのだが、桜の木の皮がどうそれに効いてくるのか、正直ピンとこない。
民間療法の一つだろうが、迷信を信じるような人ではないので、何か経験に基づく根拠があるのだろう。
次に刺されたら、試してみよう。
民家付近では、ハチは缶ジュースの空き缶に多くたかる。
以前の仕事場には、大量の空き缶を捨てるシュートがあり、そこにいつも多数のハチがいた。
野山で缶ジュースを放置すると、缶の中にハチが入り、口を付けた時に刺されるようだ。
気をつけてね。
*1:夏以降あまり採集に行っていないので・・・
*2:図体がでかく、動きが機敏で、攻撃的でかつカチカチの威嚇が怖い。やる気充分。毒の量もこいつが一番多いらしい。できることなら山野で出会いたくない動物の一つ
*3:行ったことのある方ならわかると思うが、最近、ダム沿いにずっと上まで道が付いた。ここから鉱山へは藪の中の林道を歩いていけばいいのだが、無理すれば何とか車で行けないこともない。
*4:前者は犯罪に使われるおそれがあり、後者はオゾン層を破壊するので使いたくない。ジクロロメタンは油汚れの洗浄にも用いられるので、なじみがある。
*5:キサモリから見ると山の裏にあたる、荒川鉱山そばの採石場露頭のずっと左側、日陰沢の出合に近いところにぶら下がっていた一抱えもあるような巨大なハチの巣はどうなったんだろう。