某さんの話を聞き、「ああ、実験科学者が実験に40年従事すると*1神様のような実験レベルに達するんだねえ」と感嘆。
オレの分野では、現実にはそうする人はあまりいなくて、教育活動、雑用、実験指導、金集めに人付き合いなど、様々な要因のために実験台から疎遠になってしまうことが多いようだ*2
一週間のうち3時間だけ実験するゆとりができたとしても、その3時間をフルに使うのは難しい。下準備するだけで終わってしまう。
だから、みんな偉くなると自分で実験できなくなる。
しないんじゃなく、できなくなる。
ところが、一部には実験に人生をかける人もいて、やはりそういう人の言うことは、そうでない人の言うこととは重みが違ってくる。たとえ同じ話題を話していても。
そりゃそうだ。
そのかわり、自分のした実験だけだとどうしても視野が狭くなる。
しかし、40年経つと多数の実験経験に支えられた知識と、研究哲学の円熟味が組み合わさり、恐ろしく切れ味が良くなる。


話を聞いていると目から鱗がポロポロ落ちる。
自分の知識と経験のなさにうんざりする。
すごく勉強になる。


どちらに向かおうとしているのですか?
理想とする研究者のスタイルとは、どんなものですか?

*1:試行錯誤を繰り返さないとダメ。

*2:どんな実験科学者でも「実験したい」という熱意が心の奥底にあるらしいのだが、実験から離れてウン十年も経つと、昔やったようにはいかないのは当然。ガラス細工だって、1年しなければ確実に腕が落ちる。