音楽

知人と話して、音楽で食べていくことが困難であるということを知る。
うすうすは聞いていたのだが、それほどとは知らなかった。


音を奏でる能力は技能のひとつだ。
長い長い反復練習の上に、技術や表現力が詰まれる。
毎日10時間も弾いているような人は、音が研ぎ澄まされてくる。
それを20年以上しているのだろう。
それでも食っていけないのか。
周りに不安定な職種とカテゴライズされてしまうのがつらいと言っていた。
がんばれーー。


芸の道は厳しい。
誰にでも間口が開いているものの、奥行きは果てしなく深い。
努力だけではどうにもならないところも多い。


有機合成なら、一日10時間フラスコを振った20年選手なら、自分の腕だけで飯が食えるんだけどね。
製薬会社にはそんな人がいる。
化学は間口が狭い。
武田三共に就職するにはそれなりの手続きが要る。


そーいえば、この間の話で「有機合成は Grignard *1が使えればそれなりのレベルだ」という話を聞いた。
Grignard を立ち上げられるということは、音楽の世界でいうところの「課題曲をとりあえずミスタッチ無く弾く」ことなのだろう。
そっそうか?そういうものなのか?
Grignard は誰でもできそうなものなんだけどな*2


化学と芸術、噛み合わないようだけど実は意外と似てたりする。
道を究めるのは、どの分野でも容易ではない。
ひよこが成鳥になるまでに、かなりの割合が振り落とされてしまう。


志は高く、現実には柔軟対応で行きましょ。
力量に応じたやり方がきっとあるはず。

*1:ミリモルスケールの空気にやや不安定な有機金属化合物のハンドリングができることを指すのだろう

*2:もちろん厄介なヤツはある。アリル系で、どれだけがんばっても二量化しか起こらないヤツとか。