レンズ、また買っちゃった。

旭光学 Super-Macro-Takumar 50mm F4 を \2000 で購入しました。
ラクチカマウント (M42) で、レンズ構成はクセノターだそうです。
これよく写りますね。ワゴンセール品とは思えません。
周辺までかっちりと像を結びます。
この種のマクロクセノターは、(Micro Nikkor 55mm F3.5もそうですが)近接撮影は像がいいのですが遠景が苦手です。こいつもそのようです。
一番おいしい像は 1/5 倍、f = 8 ぐらいのところにあります。
唯一の欠点は、前玉が深すぎるので、ベローズに載せて1.5倍以上の撮影をしようとすると、光源の位置によってはレンズの影が被写体に落ちてしまうことでしょう。
Micro Nikkor 55mm F3.5 も深いところにあるのですが、これはさらに深いです。井戸を覗いているみたい。
ただし、そのおかげでシングルコートなのに迷光に強くなっています。
後玉も小さいので、デジタル向きなのではないでしょうか。
近接撮影に関しては、このレンズは EL-Nikkor 50mm F2.8(色収差が周辺で出る)、Micro Nikkor 55mm F2.8 より確実に良像を結像します。


3000円までなら即買いですね。



もう一本はマクロ四兄弟の長男(12cm)です。

このレンズの解像の良さは言わずもがななんですが、2m以上の撮影距離では、開放でわずかに周辺部で色収差によるにじみが出てきます。
ちょこっと絞った方がいいみたい。
ただし、中途半端な絞り値(数値で言うところの3くらい)は、ボケが最悪の形状(七角の星型)になります。
絞りの数値を5以下にすれば、正常な七角になります。円形絞りにして欲しかったな。


マクロ四兄弟長男の例をもう一枚。
Amethyst@Suisho Mt., Shiroishi, Miyagi Pref.


この写真を撮るのに30分は楽にかかってます。
どういうことをするかというと・・・

  1. 標本のホコリを落とします
  2. 撮影倍率および標本の撮影する位置をざっと決め、レンズを選定します
  3. 標本を撮影台にセットし、およその方向を決めます
  4. ライティングの反射をファインダーで見ながら、ライトの光量と角度並びに標本の角度を正確に決めます
  5. 標本の位置を固定し、撮影倍率を決定してフレーミングします
  6. ピント決めして撮影します。紫水晶は露出が難しいので最低でも3枚は露出を振ります。


こんな感じです。
実際にはホワイトバランスの調整やらなんやらで、もうちょっと手間がかかります。
意外と手間がかかり、時間を費やします。


なぜこんなことを書くかといいますと、やっぱり「TERRA-Sakurai Collection」の写真は手抜きだと思うのです。どう考えても。

TERRA―Sakurai Collection

TERRA―Sakurai Collection

あの写真集では、標本の選定(約500個)から撮影まで、一日でやってるんですよね。
まじめに写真を撮ろうとしたら、そんなに大量のブツ撮りが一日でできるはずないです。
スピーディに大量のブツ撮りをしようとしたら、等倍を諦めれば Zoom Micro Nikkor が一番使いやすいレンズです。
フレーミングの柔軟性はあれがダントツです。
それでも一個5−10分はかかりますよ。
あの写真集はピントがぜんぜん来てなくて、私の写真の方がまだマシなんじゃないかと。
そんなにポンポン流れ作業で撮ってもいい写真は撮れません。
それに、標本をラフに扱われてそうなのでイヤなのです*1
そんな人に櫻井標本を触らせないでよ、というのが私の正直な意見かな。


櫻井標本は、変なところから人繋がりができて、写真を撮らせてもらえる可能性のある状況になっています。
じっくりと最低一週間はかけて撮影してみたいですね。

*1:たとえば私が水晶を掘ってきて洗っているとするじゃないですか。そこに水晶を触ったことのない人が来ると、水晶を拾い上げて眺めて、置くときに放り投げるんですよ。そんなことしたら結晶のエッジはあっという間に欠けちゃいます。掘り出すときにいかに傷つけないで丁寧に出したかなんて知るはずないので当たり前なんですけどね。