靴が一番大事なんだって

ある大学の地質関連学部の話をうかがう機会がありました。
その大学では、地質調査や巡検の際に、安全靴(鉄板の入っているもの)を履かせるんだそうです。
安全靴は確かにつま先の保護にはいいのですが、それだけです。
ソールはフリクションを効かせ、エッジを使うには固すぎます。


山や沢を上がったり下りたりしていて思うのですが、山野を歩くのに一番重要な技術は、体重移動ではないのかと思うのです。
私は年に30日ぐらいしか歩けないのですが、山を歩いたことのない人と一緒に斜面の上り下りをすると、それをひしひしと感じます。
私一人ではそれなりに慣れてしまっているので、気付きません。
同行者が苦戦しているのを見ると、「あ、これは体重の移動が出来てないんだ」と思うことしばしばです。
特に、足場の悪いところや滑りやすいところを、「だましだまし」上がるのは、体重の分散と重心移動ができないとすぐ落っこちます。


で、体重移動を地面に伝える道具は、靴(と靴下)なのです。
場所により最も適した靴があるのですが、ガレ場なら足首の高い革の登山靴、沢なら地下足袋、林の中なら軽登山靴が適しています。
特に沢は足の装備を選びます。釣り屋が使うフェルト靴も試しましたが、地下足袋+よくぬらしてなめした藁*1のワラジが滑りやすいナメには最も適しているのです。ホントです。
編み上げの安全靴はゴム底が滑りやすくて、ゴムの素材も固く、これで沢を上がるのは辛いです。
わざわざ自分から苦労するのはマゾです。靴を間違えると、沢のグレードが一つ上がります。
安全に楽に山野を歩くなら、安全靴は捨て、状況に最適な履物を選ぶことを強く勧めます。
ナメ滝を滑り落ちて骨折して木に引っかかるより、よっぽど楽ですってば。
昔から使われているものは、それなりの理由があります*2


教える側も、命がかかってるんだから、装備についてしっかり勉強と研究を重ねてくださいね。

*1:ビニール紐ワラジは好きではない

*2:新素材を比較検証するのももちろん大事なことです