マルチフォト
もう生産中止になってしまいましたが、ニコンの接写拡大専用装置で、マルチフォトというのがあります。
これがいろいろと考えられていて、面白いんです。
顕微鏡部門が作った「マクロニッコール」というレンズの優秀さが話の種になることが多いのですが、マルチフォトの装置もからくりが多くて面白いのです。
たとえば、これはシャッター部分(カタログでいうところの、シンクロナイズドシャッターと、L-Fバヨネットマウントと、四兄弟長男)なのですが、アリ溝でワーキングディスタンスの微調整が出来るようになってます。
で、普通の顕微鏡などは調節ノブを回すと、中のラックとピニオンの駆動でワーキングディスタンスとピントの微調整が出来るんですが、普通は右方向に回すとレンズが上がりきったところで頭打ちになり、下げるには左方向に回さないとダメですよね。
マルチフォトは違うんです。
右に回すとレンズが上がり、さらに右に回すと今度はあるところから切り替わって、下がります。
一方向にずっと回してても、調節幅5mmの間を行ったり来たり往復しているんです。
この仕組みはアリ溝の横の箱の中にあります。
暗くてわかりづらいんですが、中でギヤがカムを回し、バネで吊ってあるアリ溝を上げ下げします。
往復運動はこのカムによるものです。
レンズはバネの復元力で吊ってある形になってますので、硬い試料にレンズを接触させてもレンズが引っ込み、レンズが傷つかない工夫と、ノブを一方向に回すだけで微調節が出来るという配慮なのでしょう。
そんな感じで、マルチフォトは面白いのです。
ちなみにこの装置、4x5インチ用です。
アリストフォトもそうなのですが、レンズは広大なイメージサークルを持っているため、デジ一眼による撮影では、光軸付近の一番おいしい部分だけしかつかっていません。ふひゃひゃひゃひゃ。
もったいないおばけが出るぞ。
(おまけ)
35 mm 用リーベルキューンミラーをはめるネジ切りっていうのは、この写真のマウントアダプターのネジです。
(追記)
martini038 さんがリーベルキューンミラーを紹介してくださいました。多謝です。
http://f.hatena.ne.jp/martini038/20071127182708
http://f.hatena.ne.jp/martini038/20071127182706
鏡って言うより、電灯の笠に近いですね。