ざんげの値打ちもない


昨日はこれが脳内音楽でした。この歌詞は頭に残るのね。

あれは二月の 寒い夜
やっと十四に なった頃
窓にちらちら 雪が降り
部屋はひえびえ 暗かった
愛というのじゃ ないけれど
私は抱かれて みたかった


あれは五月の 雨の夜
今日で十五と 云う時に
安い指輪を 贈られて
花を一輪 かざられて
愛と云うのじゃ ないけれど
私は捧げて みたかった


あれは八月 暑い夜
すねて十九を 越えた頃
細いナイフを 光らせて
にくい男を 待っていた
愛と云うのじゃ ないけれど
私は捨てられ つらかった


そしてこうして 暗い夜
歳も忘れた 今日のこと
街にゆらゆら 灯りつき
みんな祈りを するときに
ざんげの値打ちも ないけれど
私は話して みたかった


阿久悠以外に、誰がこの昭和20年代の女の激情を書けるというのでしょう。


阿久悠が亡くなって一年経ちます。
彼の残したものはあまりにも大きかった気がします。


で、ウェブ情報によれば、この三番と四番の間に、幻の四番があったと言うのです。

あれは三月 風の夜
とうに二十歳も 過ぎたころ
鉄の格子の 空を見て
月の姿が 寂しくて
愛と云うのじゃ ないけれど
私は誰かが 欲しかった


北原ミレイのヒット曲はもう一つ、「石狩挽歌」ですが、こちらの作詞はなかにし礼です。
赤い月は、頭をぶっ叩かれたぐらいインパクトがありましたね。


私の世代ですと北原ミレイは古すぎ、どちらかというと八神純子「みずいろの雨」だったりします。


そして風邪引きました。どうやら頭の中に古い歌謡曲が流れる時は要注意らしいです。


YouTube に決定的に欠けているものは、古賀政男のギターだと思うんですね。
「人生劇場」も「湯の町エレジー」も「酒は涙か溜息か」も「トンコ節」も、古賀ロマンチカのものが皆無。
これにはとても残念に思います。
上野の公園で鳩と遊んでいると、道端でギターを弾いている人を見かけるんですが、なかなか誰も相手にしてくれません。
長渕を弾こうが、オリジナルを弾こうが、聴衆はそう簡単に得られません。
しかし、古賀メロディは違うんです。
一度、おじさん二人が古賀政男をギターとアコーディオンで弾いているところに通りがかったことがありましたが、ジジババで人だかりができてました。
すごい熱狂ぶりでしたよ。正直、そんなにうまいと思わなかったんですけどね。
もし上野公園でウケを狙うなら、まず古賀政男を弾くこと。これで決まりです。
もしあなたがジジババキラーになりたいなら。
曲目は、1影を慕いて、2誰が故郷を想わざる、3丘を越えて、4三百六十五夜、5二人は若い、6人生劇場、7酒は涙か溜息か、8トンコ節、9湯の町エレジー、10ほんとにそうなら で軽く弾いてみてください。
絶対に20人以上人が集まります。保証します。


日本を代表するフィンガーピッカーは、中川でも岸部でも押尾でもなく、古賀政男なんですよ絶対。