新しらせを見に行ってきました
横浜港開港150年記念のイベントで、できたてホヤホヤのしらせ後継船を見に横須賀に行ってきました。
砕氷船しらせ(新)は海上自衛隊所属の南極観測船で、自衛隊のサービスにより今回の初公開になりました。
そうじゃなくっちゃ。
かいつまんで話すと、南極観測船を歴代で並べると、宗谷、ふじ、(旧)しらせ、(新)しらせになります。
しらせの名前は100年前の秋田出身の日本の探検家、白瀬矗の名前にちなみます*1。
普通は特務艦って海峡の名前を付けるんです。人の名前はきわめて異例。
それにしてもまた同じ名前。一般投票とはいえ。
旧しらせの老朽化に伴い、いろいろ予算やらつなぎやらでもめたんですが、無事に新船ができあがりました。
気になるお値段は376億円でございます。
今はやりのエコ対応。
とりあえず横須賀駅で降り、普段は一般人は決して入ることののできない海自横須賀基地の門をくぐります。
その後ボディーチェック。
とことこ歩くと、オレンジ色の船体が、イージス艦きりしまの後ろに見えてきます。
でかい!でかいよ!
バウ(船首)なんですが、まんまる。
この船、舞鶴のユニバーサル造船で出来立てほやほや。
旧しらせも同じ会社です。船造にノウハウがあるので、他の会社は入札に手を出さない*2ようです。
繋留ロープも真っ白。処女の白*3。
バウに開いた小さないくつかの穴は、融雪剤を含んだ水を大量に噴き出す穴です*4。
タラップを上がると、人がゴミのようだ!最高のショーだと思わんかね?
向こうの船は護衛艦いかづち。
しらせは極地に観測隊員を送り込む仕事があるので、隊員の居室があるんですが、こんな感じ。二人で一部屋。
すごい質素で、「勉強しよう勉強しよう徹底的に勉強しよう」風味。
隊長の公室はこんな感じで、高級感漂います。
ちなみにこの横に隊長室があり、隊員の部屋3部屋分の面積。つまり隊長は隊員の6倍の価値があります。
隊員の公室はすなわちミーティングルーム。
テレビの横の入り口がネットワーク室。エロネットはこちらでこっそりと。
タイガーカット理髪室もあります。モヒカンもできます(たぶん)。
ブリッジに上がる前に、神棚が目に入ります。
聞いてみると、この間私が行ってきた、富士浅間神社で航海安全の札を貰ってきたんだそうです。
国民の税金で神棚を作っても許されるんです。すべての自衛艦に神棚があります。
ブリッジに上がります。
艦長席は赤い布張りで、神聖かつ侵さざるべきものなので、そこらの見学者には座れないように防御があります。
副長のほうは青。こっちはそんなにレベル高くないので、紐による防御もゆるいみたいよ。
座布団が船長席には一枚多いんです。
「おーい山田君!船長に座布団一枚!」
「地球か、何もかも懐かしい」って台詞を言ってみたかった!
でもその願いはかないませんでした。ケチ!
大事なのはこれ。演歌をかけたりタンゴ*5をかけたりしないと、ノリが悪いもんね。
ブリッジからバウを見るとこんな感じ。極地にさしかかる頃には、この甲板も一面凍り付くことでしょう。
舵。50度以上傾けても復元できるらしいです。
しらせ、おそろしい子!
測距儀など、いろいろあります。ちなみに測距儀は日本光学製ではありません。
船を揺らしながら周りの氷を割って進む「ヒーリング航法」の制御部だそうです。
医務室。他の船の急病人なども受け入れ可能な満足な設備。検査も外科手術も。
非常に位置の高い後部甲板から眺めると、護衛艦の裏に隠してあるように旧艦が見えます。
ご苦労様でした。きみはよく頑張ってくれたよね。ふじは非力だったもんな。
氷に阻まれて動けなくなっているオーストラリア船を引っぱり出すこと2回。漢だぜおめえは。
しかし、引き取り先が見つかった話は聞いておりません。
スクラップになってしまう運命のようです。
もう、耐用年数に近くなって老朽化が著しく、故障箇所を直し直し乗っていたらしいのです。
さびしいですね。
アンテナとレーダーは多いです。これは水上レーダー。
衛星航法用アンテナ、衛星通信用アンテナ、気象衛星受信用アンテナ、気象観測用レーダー、遠距離通信用アンテナ、タカンアンテナ*6などなど。
後部甲板のヘリポートに、南極の石が置いてありました。片麻岩かな?
赤いのはガーネットですね。サフィリンみたいのがいる?
バウにあるクレーン。雪上車のような重い荷物を下ろすためのものです。
しらせの荷下ろしはほとんどヘリによるものですが、重すぎてヘリが使えないものはクレーンで雪原に下ろします。
連続して 1.5m 厚の氷を割りながら進める、日本で一番タフな航行のできる新しらせは、南極から新しい調査データをいっぱい持って帰ってきてくれることでしょう。