書評

珪藻プレパラート作りのプロフェッショナル、MWS さんから元素図鑑の書評を頂きました。ありがとうございます。9月17日のところです。
http://micro.sakura.ne.jp/mws/todaysimage.htm


いやー、MWS さんに気に入っていただけるのが一番嬉しいですね。
ホントは、プラントオパールの写真とかもあったんですが、写真選別のときに削られてしまいました。

この本の素晴らしさは一読すればわかるので細かい解説はしませんが,大局的な観点から言えば,「経験から生まれた書」であるということです。筆者にはそのように読めます。「元素図鑑」のようなものは,その気になれば頭の良い学者が,既存の文献を切り貼りして,都合の良い画像を集めてきて製作することは難しくありません。しかし,そのような,「机上の作業」によって書かれた本は浅薄で,人の心に届かないのです。


その点,この本は筋金入りです。元素や化合物はすべて著者らが撮影しています。画像二枚目の穴虫のサファイヤ,これは著者が自分で取りだしたもののように見えます。画像三枚目の方解石,グラントムソンプリズム,これは著者の所有物のように見えます。これらのように,著者らが日頃の仕事の中で取り扱ってきた経験が生きているので,この本はありきたりの教科書を読むような「つまらなさ」が皆無で,著者の個性に触れることができます。

鋭いですね(笑)。もちろん穴虫サファイアやプリズム類はウチのものでございます。

そういうわけでこの本は文句なくお薦めなのですが,今後の改訂版のために,少しだけ注文をつけておきます。それは,参考文献の少なさです。この本は幅広い年齢層が手にすると思いますので,次のステップとなる教科書が記されていても良いでしょう。日本でまともな無機化学の教科書は少ないと思っていますが,それぞれの元素について十分な知識を得るために,いくつかの専門書を掲げてもよいかもしれないと考えます。


これは申し訳ありません。バタバタ脱稿したので、参考文献がおろそかでした。