雪虫

昨日、昼飯の後、芝生でタバコを吸っていたら、ふわり、ふわりと、白いものが飛んできた。


雪虫だ。ひさしぶりの御対面。
こいつは雪が降る直前に飛ぶ虫で、綿毛みたいなのを体にいっぱい付けており
雪みたいに見える。
初冬、鉛のようなどんよりとしたいかにも雪の降りそうな日を狙ってふわりと飛ぶ。


隣の知人に、「あ、雪虫だねえ。もう雪が降るんだねえ」と言ったが、彼は初めて見るとの事。
意外とマイナーな生き物なのね。


雪虫は何種類かいるのだが、一番メジャーなのはトドノネオオワタムシ Prociphilus oriens MORDVILKO で、アブラムシの一種。
こいつは不思議な生態がある。
北海道ではトドマツとタモの木を行ったり来たりするようだ。
卵は冬があけると孵化して、タモの木を栄養に繁殖し、こいつは初夏にトドマツに移動する。
トドマツの根で数世代繁殖をくり返し、ある寒い初冬の日に大発生して、タモの木に大移動する。
この姿が「雪虫」という状態。タモの木に付くと、交尾し、卵を生む。
といった行ったり来たりを一年サイクルでするらしい。
雪虫の状態は、初冬の移動中のとき、交尾できる状態。虫蝋が多く、雪みたいに見えるようだ。


本州にはタモ(ヤチダモ)はあるけど、トドマツがない。何の木にくっついているんだろう。


この虫は、カミさんとの思い出があって、結婚前に河原をデートしていたら
やはりふわふわ飛んできて、カミさんが大喜びしていたことがある。
鉛色の空の下、手をつないで河原の堤防の上を帰った。思い出の虫。


ということを考えながら雪虫を見ていた。
でも、もちろん別の事で頭がいっぱいで、それどころではない。


あー、スタッドレスタイヤに替えなくちゃ。めんどくせーな。
山ももうそろそろ雪が降るなあ、もう山奥の石採りは厳しいなあ、てな事。