存在意義(raison d'etre)


知人が山で死んだという話を前に書いた。
その嫁さんがその後、少し変わった。
以前から冬山に強い人だったが、最近は本当に危ないところばかり行っている。
気を付けてね。


登山者は人生を昇華させるように、山に登る。そこに彼の存在意義があるのだろうか。
登山の記録は、登山者の命か。


ものづくりをする人は、作り出したものが自分の象徴となる。
作り手が死んでも、モノが作り手を語り出す。
文筆業なら自分の文章。職人なら自分の作ったモノといったように。
研究者は論文だ。大変わかりやすい。
あるいはモノを作る研究者なら、作ったモノも自分の存在を示すことになる。
正確に表現すれば技術屋の魂は技術そのものなのだが、技術は残らないからなあ。
記載鉱物学者は、記載論文と記載した鉱物に自分の存在意義を見いだせるだろう。
職業だけでなく、趣味についても言える。
コメットハンターなら自分の名前の付いた彗星があるだけで大満足だし、
小惑星ハンターは好き勝手な名前が付けられるのでもっと楽しい。


では、アマチュア鉱物コレクターは?
プロと組んで新記載すること?新鉱物を見つけ出すこと?
新しい産地を見つけ出すこと?
それとも、美しい鉱物を採集して、標本にすること?
あるいは、その標本がコレクターの存在意義なのかな?
マチュア鉱物コレクターは、死んで何を残すのだろうか?やっぱり標本かな?


いまだにこれがわからない。