某鉱山の坑道水の不思議な利用

http://www2.odn.ne.jp/water74/
http://www2.odn.ne.jp/water74/page012.html
74種類の元素が入っているとはすごい。
74種って、放射性同位元素を除いたほとんどじゃん。
単位もよくわからん。1/1000 mg って?
10-3 mg/l なら ppb だが。
97年分析なら、金属元素ICP-MS かな?原子吸光?検出できる量が含まれているのを売りにする*1のなら、意味のある有効数字じゃないと証明にならないよ。<0.1 を検出しているとみるか、していないとみるかだけど、普通はこれは「検出されていない(n. d.)」と考える。
ICP-MS ならこの濃度領域なら余裕で定量できるんだけどな。
小数点以下を書くのが煩雑だったので そう書いたのか。あるいは n.d. なのかよくわからない。
ハロゲンの値が入っているところをみると、複数の分析手法なのだろうけど。
分析屋が出した分析結果の表に <0.1 って入っていたら、それは検出できていないと思う。


まっまさか、「元素普存則*2」とか言い出さないでしょうね。

中国山地・成羽断層 の石灰岩は正六面体結晶を有する特殊な良質石灰岩です。30数キロにも及ぶ硫鉄鋼床は熱水鋼床と言われカルシウムは硫酸化カルシウムであり、熱しても結晶しにくい良質のカルシウムです。

これもよくわからない。硫酸カルシウムかな?
石灰石が硫酸カルシウム?
分析値にイオウもしくは硫酸イオンの濃度が入ってないので何とも言えないけど。
石灰岩が正六面体結晶を有するってのもヘン。


http://www2.odn.ne.jp/water74/page005.html

「体の不調や病気の根源的な原因は、原子・素粒子レベルの振動の乱れにあるとされています。
波動水などが作用するのは原子・分子レベルで生体に正常な情報を送り、様々な不調の原点の部分を改善する、つまり波動の乱れを整える事にあるとされています」

わっはっは。久しぶりに腹の底から笑った。
そんな話は読んだことも聞いたこともない。
どういう分析をするのか伺ってみたい。
まさか、波打つ水面とか?
オペレイターの体調によって測定値がバラつくってのも笑った。しかも、よく見ると波動測定器じゃなくって、渡動測定器じゃん。間違い探しか?
ガウス単位で「磁気波動」ってのが出てるのだが、地磁気の50倍!
この水のそばに磁石を近づけたら狂っちゃうね。んなアホな。
分析のところの項目の「協和コーポ」ってのをウェブで検索したら、
この水の分析と、米沢市のアパート(学生向け)ぐらいしかヒットせず。
「新エネルギー研」も同じようなもの。うさんくさいなー。


よーく読むと、科学というものにまったく疎い人が、何とか坑内水に付加価値を見つけようと、いろいろと分析に回して出てきたデータの解釈を完全に間違えて、トンデモな文章になってしまったのだと深読みできる。それと、あやしい分析に出しているのも失敗の要因だろう。


「溶存成分のバランスがよく取れていて、おいしい」っていう口上にした方が、オレ的にはひかれる。
多けりゃいいってものではないのでは。


海水から塩を作るとき、ある程度濃縮して煮詰めると、食塩の塩化ナトリウムが結晶化して沈降し、それ以外の溶存成分は結晶化せず、いわゆる「にがり」になる。
このとき、にがりを切りすぎても塩っ辛くて旨い塩にならないが、にがりが多すぎるとやはり雑味の多い塩になってしまうらしい。この、「にがりのバランスを何処で取るか」が塩作りのポイントだとある島の塩屋は言う。
ここに塩屋の腕が出る。いわゆる「ミネラル」を多くしようと努力すると、やはり旨くない塩ができる。
旨い塩、旨い水は、こういった多成分の調和の妙が重要じゃないのかと思う*3
ミネラルが他社製品に比べて10倍多いとか、そういった売り文句はもう廃れて欲しい。


最後まで残る、「良いもの、飽きのこないもの」を生産者は作り出して欲しい。
消費者もエセ科学に踊らされないように。
そして、一時のブームで使われる、エセ科学用語はもういい加減にしてくれ。

*1:それが「含まれている」っていうことだからね

*2:試料の中には、必ず全ての元素が含まれているのだが、分析技術の限界で検出できないだけで実はすごいほんのわずか入っているんだという考え方

*3:水の旨さを決めるのは、まず温度なのだが、それはここでは触れない