穴は埋めた方がいいのか?そうしない方がいいのか?
数日前の事故の影響で、埋め戻される穴が多くなりそうだ。
しかし、危ないから埋めるという、「臭いものには蓋」的の対処法で本当にいいものだろうか。
たき火が人命を奪うほど危ないわけではない。穴もしかり。
「たき火+穴」の組み合わせが危ないという知識がない為に起こった事故だろう。
しかし、現実には、今の町中でたき火をすると消防が飛んでくるし、目立つところにある穴はほとんどが塞がれている。
子供は当然、たき火の手法なんて知るはずがない。大人だってあやしいものだ。
子供が危険なものについて学べる場所が、以前に比べて劇的に排除されたのだろう。
オレのオヤジぐらいの世代だと、危険なものが身の回りにいくらでもあったようだ。
軍の工場に忍び込んでかっぱらった爆薬、濃酸、水銀。
学校の水練の授業で濁流に流され、生徒が死ぬなんてこともあったらしい*1。
普段の遊びの中にも、死の危険がすぐそばに潜んでいる。そんな時代だったようだ。
子供がいたずら好きなのも、それでたまに事故が起こるのも、今も昔も変わってはいない。
変わったのは、情報の伝達速度が飛躍的に向上したのと、責任の所在を問う鉾先がいろいろなところに向くようになった、ということなんだろうな。
子供の頃を回想してみると、オレも、死の可能性のあるイタズラをした経験がいくつもある。
ぎりぎりのところだったことも何回か。
そこで死ななかったのは運の問題もあるのだが、子供なりの修羅場をくぐり抜けるうちに、知恵と知識を少しずつ学んでいったためかもしれない。
危ないものとの付き合いがないと、正常な知識が身に付かない。
砥石で刃物を研ぐのも遊びの一つだった。色々研いで大人を困らせた。
ハサミを素人が研ぐと全く刃が合わなくなるし、砥石も合わせ方を知らないと、でこぼこになってすぐ使えなくなってしまう。
どういう鋼が刃がつきやすいのか。様々な刃物はどう扱ったらいいのか。こんなことはなかなか大人は教えてくれない。
鉛筆の削り方ぐらいは教えてくれるけれど。
大人、しかも職人たちが仕事で刃物を扱っているのをみながら、見よう見まねで大人に隠れて遊んでみたのが始まりなんだろうな*2。
もちろん生傷はたえなかったし、大けがもした。未だに傷が残っている。
爆発もした。爆発で顔を火傷して、顔の皮が上半分剥けたこともあれば、火災の一歩寸前まで行ってオヤジにぶん殴られたことも。
もっとも、オヤジにぶん殴られるのはいつものことなのだが。
子供の手の届くところから、危ないものを徹底的に排除しないで欲しい。
少しぐらい危なくて、大人のにおいがして、叱られそうだけど好奇心の満たされるものを残してあげてくれ。
特に、自然の作り出す危険は。
子供に与えるものは、みんな柔らかく甘く煮てあげればいいってものではない。たまには堅くて苦いものも用意してあげよう。
そして親は、ガンガン子供を叱ってほしい。怒るのではなく。
叱る理由も一緒に教えてやってくれ。