連休初日の強行軍

doublet2005-04-29

連休なので、採集に出発。
深夜、高速道路を飛ばして産地に向かう。
雨ざあざあ。高速が怖い。雷も。春雷というヤツかな。
怖いからオレ、寝る。
というわけで、2時間仮眠。


ひたすらドライブして、産地に到着。
ここは、1960年代に地質の記載のある沸石産地。
沢の途中に玄武岩の小岩体があり、この空隙に沸石が多く出ている。
Analcime, apophyllite がいっぱいあった。Okenite も。
いくつか珍しそうな沸石を拾う。
ここに限らず、この周辺の玄武岩は沸石が多い。
地元の人と会話するが、方言のためなかなか聞き取れない。
ヨソモノ相手の言葉はまだわかるのだが、native speaker 同士の会話はさっぱり。
ポルトガル語の発音に似ているなあ。


次は、海岸沿いの鉱脈鉱床。
巨石のごろごろ転がる海岸を歩き、5mも上がる波しぶきを頭からかぶり、やっと鉱脈を見つけた。
鉱脈は、変質を受けた凝灰岩に入っている。
海に面した崖に、崖錐堆積物が臨界角をなして堆積し、上から落ちて来た鉱石が混じっている。


この崖が、むちゃくちゃ怖い。
臨界角は50度ぐらい。岩なだれ状にがらがら岩が落ちてくる。
足下の崖錐が、ドザーと音を立てて大きな規模でなだれ落ちる。
その上の崖は、70度から垂直に近い。
へばりついて採集を試みるが、危なくて両手が離せない。
片手一本だけで採集。


鉱脈は、sphalerite, chalcopyrite, galena, rhodochrosite が多い。
Sphalerite はいわゆるベッコウで、大きなものでは5cmオーバーの劈開片がある。
しかし、残念ながら、ガマが空かない。
ガマはみんな barite の結晶ばかり。
末期に barite が来ているのだが、はっきり言って邪魔。
rhodochrosite はほとんど白色ー淡褐色。
本朝日鉱山みたいな構成だ。
Galena の結晶の立った標本が一つだけ採集できた。
露頭は、chalcopyrite が腐ったカッパーグリーンが多い。
海岸なので、塩素が入り込んでいるような色をしている。
分析用に、結晶になってそうなのを拾ってみる。
亜鉛の二次鉱物は、白い皮膜状のものが岩の割れ目に見える。
塩素が入っているといいけど。


写真はその露頭。
下に見えるのはオレのザック。かろうじてザックが転げ落ちない程度。
ザイルを使うほどではないが、やはり怖い。



次は、さらに先の金属鉱山跡。
鉱山の施設のあったであろう石組みを発見。
ズリはあるが、pyrite ぐらいしか見つからず。
それにしても、寂しいところだ。
風が強すぎて木が育っていない。


海岸を車で走っていたら、白い脈が露頭に見えた。
車を止めて観察。
集塊岩の隙間に、犬牙状の方解石の結晶がいっぱいある。Max 5cm。
もっと大きいのが上の方に見えるが、手が届かない。
なるべく風化を受けていない部分にタガネを当て、うまく母岩付きで採集できた。
なぜかそのあたり、ギョウジャニンニクのような植物が多く、踏んづけると臭い。


もう夕方なので、温泉に向かう。
この温泉は、民間で、350円。まあまあ安い。
浴場が大きく、海に面しており、大変気持ちがよい。ジェットバスも。
しかし、ラーメンははずした。
食堂においてある石に、無色透明の fluorite のサイコロの結晶がいっぱい付いているのを見つけた。
海岸に転がっている石らしい。
うーむ。なかなかあなどれないな。
あとで探しにこよう。